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令和4年9月定例会(第7日) 名簿
令和4年9月定例会(第7日) 本文

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  1. 福岡県議会 2022-09-07
    令和4年9月定例会(第7日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(桐明 和久君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い代表質問を行います。順次発言を許可いたします。高橋義彦君。(拍手) *高橋(義)議員質問 2 ◯十四番(高橋 義彦君)登壇 皆様、おはようございます。自民党県議団、高橋義彦でございます。このたび会派を代表いたしまして質問に立つという大変光栄な機会をいただきましたことは、ひとえに日々御指導いただいております自民党県議団藏内勇夫相談役松本國寛会長をはじめとする諸先輩方の御配慮のおかげと、心から改めて感謝申し上げます。  また、日頃から御支援をいただいております地元の皆様方の力強い応援、そしてその気持ちに感謝をし、ふるさと福岡県の発展のためにしっかりと、元気よくただしてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、質問するに当たり、先週九月九日に、総理をトップとする物価・賃金・生活総合対策本部が開かれ、食料品やエネルギーの価格高騰の負担が大きい住民税非課税世帯を対象とした一世帯当たり五万円の給付や、九月末に期限を迎えるガソリン補助金の年末までの延長に加え、地方自治体の電力、ガス、食料品等の価格高騰に対する取組を支援するため、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金の創設を決定しました。岸田総理は会合の席上、国民生活や事業活動を守り抜くことは政権の最優先課題の一つ、追加策を早急に実行に移すと述べられております。  知事は、今議会において、物価高騰対策に係る補正予算を提案されておりますが、この創設された交付金を積極的に活用し、もう一段きめ細かく、電気代、食料品価格等の高騰に苦しむ事業者などを支援するため、速やかに対策を実施すべきと考えます。この点、知事はどのようにお考えでしょうか。  続いて、福岡県の今後の財政運営についてただしてまいります。感染が拡大し、収まったかと思えば、さらに大きな感染の波がやってくる。そういったことの繰り返しの中で、本県はコロナ対策に奔走するとともに、県民や事業者の皆さんには、度重なる蔓延防止措置緊急事態措置、それに伴う行動制限を長い期間にわたり要請し、県民や事業者の積極的な協力を得てまいりました。感染拡大防止のためとはいえ、県民の皆さんには大変御心配と御苦労を強いてきたことは、私をはじめ皆さんの記憶にも新しいところだと思います。  それでは、まず昨年度県会計の決算についてでありますが、決算見込みを見てみますと、令和三年度の歳出の決算額は約二兆五千億円で、過去最大規模となっています。この理由として、新型コロナ感染拡大防止のための検査及びワクチン接種体制の確保や、飲食店等への時短協力金の支給、医療提供体制の強化のための病床や宿泊療養施設の確保、さらに事業者の事業継続や地域経済の活性化のための様々な支援策などに八千億円という巨費を投じた結果だということは誰もがうなずけるところであり、県の努力に一定の評価を与えるところでもあります。  一方で、歳入に目を向けてみますと、県税収入は二年連続の増加で過去最高額の六千九百八億円となっており、実質収支も八十八億円の黒字と過去最高となっています。この結果は、一般の県民感覚から見ると誠に意外の感を免れません。二年以上にわたるコロナ禍を経験し、地域経済への悪影響を心配してきた私どもの肌感覚としては、異なるように感じられてならないからであります。  そこでまず、お尋ねします。令和三年度の県税収入が二年連続で増加し、過去最高となった要因については、財政筋には極めて簡単明瞭なことかもしれません。しかし、多くの県民にとっては誠に意外であり、また私自身も十分な理解を得られてないこの数字、いや事実について、特に詳細を御説明願います。  さて、今年二月から始まったロシアによるウクライナ侵略は長期化し、その影響もあって原油価格は高止まりしています。日本では金融緩和が続いていますが、米国や欧州では、インフレに対処するために金融引締めが行われていると、マスコミ等でその事情を知るところであります。このようなことも相まって、為替相場も一年前は一ドル百十円台前後だったものが、現在一ドル百四十円台と、円安への流れが止まらない状況です。また、我が国の最大貿易国である中国では厳しい防疫措置、いわゆるゼロコロナ政策の影響か、四月から六月期のGDPは、物価変動の影響を除いた実質ベースで前年同期比〇・四%の増加となり、伸びは一月から三月期の四・八%から急減速しています。今後、世界的な原材料価格の上昇や供給面での制約等により世界経済が減速していくのではないかと懸念されるところです。  足元では、政府は、今年四月から六月期の速報値ベースではありますが、国内総生産(GDP)は、年率換算で二・二%増だったと発表しています。プラス成長は三四半期連続で、新型コロナウイルス対策蔓延防止等重点措置が三月下旬に解除されたため、GDPの半分以上を占める個人消費が、旅行や外食などの活発化により持ち直したとのことです。また、デジタル化に向けたソフトウエア投資の影響で、設備投資も二期ぶりにプラス成長となっています。  一方で、報道ベースではありますが、八月は月間ベースで今年最多の二千品目以上が値上げされ、特にコロナ禍で人気の家庭用冷凍食品は、大手五社が八月一日に四百品目超を一斉に値上げ、秋以降にはビールや清涼飲料の値上げが予定されています。今後は消費者の節約志向が高まり、個人消費が冷え込むとともに、企業の販売利益が落ち込むなど本県経済への影響も心配になります。  こうした状況を見ていると、我々県民として、もう一つ心配になってくることがあります。それは、果たして今年度の県税収入は大丈夫かということであります。知事は、我が会派の二月の代表質問で、今年度の県税収入の見込みについて、法人への聞き取り調査等を踏まえて、本県の実情に即して適切に見込んでおり、当初予算に係る県税収入は確保できるものと考えていると、その見通しを明らかにされています。  そこでお尋ねします。今年度の県税収入の見込みに変更はないのか、我々の心配は杞憂の思慮としていいものなのか。そこでまず、県経済のバロメーターとも言える主力の法人二税の現在の状況を示し、その論拠とも言えるべき点を併せてお答えください。  また、この物価高騰等が続く中、本県経済の現状と今後の動向をどのように見ておられるのか、知事の考えをお聞かせ願います。  この項の終わりに、危機に強い財政についてお尋ねします。先ほど申しましたとおり、決算見込みによれば、令和三年度の県税収入が過去最高となっているだけではなく、実質収支も過去最高の黒字となり、県税収入の堅調さが表れたものとなっております。それに伴い、令和三年度の財政調整基金等三基金残高も五百八十八億円と、前財政改革プランの目標であった四百五十億円を百億円以上上回る額となっており、数値を見る限り、県財政が好転したかのように思えます。しかしながら、我が会派が数度にわたって指摘しているように、県税収入を主体とする財源の確保がなされなければ、この財政状況もたちまち悪化に転じることは、令和二年度のコロナ禍を見ても明らかであります。現在、物価高騰等の影響が続いていますが、まずは県民や事業者の皆様への影響をできるだけ取り除くことが肝要であることはもちろんのことであります。しかし、このような経済状況の変化は、今後も必ず起こるものです。本県の経済は、多くの中小企業農林水産業者の皆さんに支えられています。このようなときこそ、本県経済の基盤を担っている中小企業農林水産分野に対する未来への成長、発展に向けた特別な取組が重要になると考えます。  先ほど申し上げたように、多くの県民や事業者の皆さんがコロナ禍の中で傷つき、苦しい思いをされ、それは現在も続いています。このようなときであるからこそ、知事は、本県の発展の歩みを停滞させることは許されないと考えるのです。コロナ禍であろうが、どんな障害があろうが、本県の未来のためにしっかりとした財政基盤をつくる、そうすることで、今後県内の傷ついた方々に対する支援や、本県経済の活性化による好循環を進めることができるのではないでしょうか。こうしたことこそ、知事が日頃よく述べておられる未来への道筋を明確にするものではないでしょうか。  今議会においても、危機に強い経済構造の実現について補正予算を提案されておられますが、この九月補正予算に込められた知事のお考えをお聞かせください。
     続いて、ようやく感染者数減少の兆しが見えてきた新型コロナの第七波についてです。岸田総理は、いわゆるコロナ感染者数全数把握の見直しについて、九月二十六日から全国一律で実施するという方針を打ち出しました。知事は、福岡県でも国と時期を合わせて見直しを行うと述べておられますが、しかし、全数把握をやめることにはメリット、デメリットの双方があると報じられています。  そこでお尋ねします。メリット、デメリット、それぞれ具体的にどういった内容なのか、またデメリットを最小限に抑えるために、どういった対策が考えられるのかお聞かせください。  さらに、これから冬を迎えるに当たり、インフルエンザとの同時流行も十分予想されるところです。第七波では、各地で発熱外来に検査希望者が殺到し、医療現場は大きく混乱、疲弊しました。これらの教訓から、早期に発熱外来を増やすなどして医療現場の逼迫を回避すべきと考えますが、知事のお考えをお示しください。  次に、農林水産問題についてただします。我が国は、戦後先人たちのたゆまぬ努力により、荒廃した国土を立て直し、世界史上まれに見る奇跡的な経済発展を遂げ、世界有数の経済大国となりました。この経済発展に伴い、我々日本人の食生活も急速に、それまでの米や魚、野菜を中心としたものから、肉や乳製品を多く摂取する欧米型の豊かな食生活へと大きく変化してきました。もちろん我が国の農業生産についても、この間、品種の改良や生産技術の向上、生産基盤の整備などを進めたことにより、着実に生産性を向上させてきましたが、食料自給率が長らく四〇%前後を推移していることからも分かるとおり、その豊かさは小麦や大豆、牛肉など、多くの農畜産物を世界中の多くの国々からの輸入に依存することで成り立っております。また、国内の農畜産物生産についても、必要な肥料や燃油、家畜の餌など、生産資材の多くを輸入に依存することで成り立っているのが現状であります。こうした現状について、我々国民は、特に意識することなく日常を過ごしておりますが、今回発生した新型コロナウイルスの世界的な感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻などによる燃油、資材高騰は、我が国の食料安全保障の脆弱性を浮き彫りにし、我々にそのことを強く認識させることになりました。  同様のことを、我々は僅か二年前に経験しました。新型コロナウイルス感染拡大に伴うマスク不足であります。しかし、こうした経験にもかかわらず、現在もマスクの国内生産のシェアは、あまり伸びていないのが現状のようです。我々日本人は、このように、どうも喉元を過ぎてしまうと熱さを忘れる性質を持っているようですが、これが国民の生活や生命に直結する食料の話となると、そうも言ってはいられません。世界的な人口増加や開発途上国経済発展等による食料需要の増大、気候変動による生産減少など、様々な要因によって食料供給に影響を及ぼす可能性が指摘されています。今こそ、国民、そして県民に、国内、県内で農業を行うことの本当の意味やその価値を理解し、再認識してもらうことが重要であり、それにより初めて国産・県産農産物への支持へとつながり、価格への転嫁が可能になるのではないでしょうか。  我々が、現在の食生活を維持しながら、必要とする全ての農畜産物を完全に自給することは現実的ではありません。そうであるなら、食料安全保障の基本的な責任を持つ国には、今回の燃油や資材高騰、あるいはサプライチェーンの混乱による輸入の途絶といった食料供給を脅かすリスクについて、平時から情報の収集と分析に努め、適切に対応するとともに、国内の農業生産の増大を基本とし、輸入と備蓄を適切に組み合わせ、食料安定供給に取り組んでもらう必要があります。また、同様に農業生産を担う県においても、県内での農畜産物の供給能力を高めるために、できる限りの努力を行うべきであり、現在の価格高騰などのリスクを踏まえ、持続性や代替性を確保し、過度な輸入依存から脱却していくことが必要と考えます。  そこでお伺いします。知事の食料安全保障に対する所見と、また昨今の価格高騰の状況を踏まえ、過度な輸入依存からの脱却に向け、県としてどのように取り組んでいくのかお答えください。  次に、物価高に悩む中小企業への支援方策についてであります。今年八月、日銀が発表した七月の企業物価指数は一一四・五と、調査を開始して以来、一九六〇年以降では最も高い数値となったと聞き及んでいます。依然として続く原油価格高騰ウクライナ危機の影響による小麦など穀物価格の高騰が主要因のようだと聞いています。さらに、円安が輸入価格を膨らませ、七月の輸入物価指数は前年同月比で四八%の上昇とも伝えられているところです。それだけに、平素こうした数字に疎い県民でも、これだけの数値の急上昇を示されると、さすがに危機感を募らせ、とりわけこの輸入価格、特に燃料価格の急上昇に直撃されているトラック運送業の経営者筋からは、収益悪化が進み、荷主との運賃の値上げ交渉が日を追って深刻となり、連日苦労させられているといった声が、私どものところにも多く寄せられているところでもあります。  もっともこうした状況にもかかわらず、全国における企業の倒産件数そのものは、意外なことですが、低い状況で推移しているようで、これはコロナ禍に悩む企業が無利子、無担保で融資を受けられる、通称ゼロゼロ融資が下支えしているものと考えられます。しかし、その返済も既に一部企業で始まりつつあり、今後の推移が懸念されます。  今年八月、帝国データバンクが発表した調査結果によると、全国における七月の企業の倒産件数は四百九十九件で、三か月連続で増加しており、このうち原材料費の上昇などの物価高を理由にした今年七月の倒産件数は、前年同月比一・八倍の三十一件と急増しています。ちなみに、業種別では燃料高の影響に直面している運輸業がトップとなっています。この物価高倒産の約八割は、負債五億円未満の中小企業が占めているとのことであり、収益悪化に直面する中小企業の苦境がうかがわれます。  もちろん本県における倒産件数も全国と同様、目が離せないことは十分承知しているところです。令和三年は二百八件と過去五十年間で最少でしたが、今年に入ってからは増加に転じており、上半期の倒産件数で比較すると、昨年の九十八件に対し、今年は百二十件と、三年ぶりに前年同期比で二二%超の増加となっております。言うまでもなく、中小企業は本県の雇用の八割を超えて、本県経済の大宗を担い、成長の源泉とも言われる立場にあります。その中小企業が、長引くコロナ禍に苦しめられてきたことに加え、急速に進む物価高など新たな課題に直面していることは誠にゆゆしき事態とも思われ、迅速な対応が求められていることは言うまでもないところです。  そこで、県としては、一段と厳しくなっている中小企業の経営環境を受け、これまでの中小企業対策に加え、新たな連動性ある支援に取り組むことが喫緊の課題と思うところです。見解並びに対策をお示しください。  ところで、今年は異例の早さで梅雨明けが発表されたものの、後になって大幅に見直されたように、天候が不順となり、七月には前線が日本付近に停滞したことで、東北地方を中心に豪雨による浸水被害が発生しました。また、八月は前線や台風の影響により、全国各地で大雨となり、特に北海道や東北、北陸地方の広範囲で、甚大な浸水被害や土砂災害が発生しています。本県では、七月五日に大牟田市で、八月二十四日に久留米市、うきは市、八女市で、記録的短時間大雨情報が発表されました。また、八月十六日から十八日にかけては、県内全域で長時間の大雨となりましたが、幸いにも大雨特別警報の発表はなく、大規模な浸水被害や土砂災害は発生していません。しかし、本県では、平成二十九年の九州北部豪雨以降、平成三十年の大雨など五年連続で大雨特別警報が発表され、甚大な被害が頻発しており、今も復旧や対策のための事業が進められているところです。  このように、近年、豪雨等による災害が激甚化、頻発化していることを受け、国は、命を守り、被害の防止、最小化等を図るため、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策を平成三十年十二月に閣議決定しました。この対策は防災のための、また国民経済や生活を支える重要インフラ等の機能を維持する観点から、特に緊急に実施すべきソフト及びハード対策について、官民が連携して取り組むこととなっております。さらに、この三か年緊急対策に引き続き、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策が令和二年十二月に閣議決定されました。対策の内容は、激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策、予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策の加速、国土強靱化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進の三つの分野について、取組のさらなる加速化、深化を図り、重点的かつ集中的に対策を講じることとしております。本年三月に公表されました福岡県総合計画におきましても、福岡県の目指す姿として、「被災地の復旧・復興を加速するとともに、気候変動の影響により激甚化する自然災害に対応するため、防災・減災や県土の強靱化に取り組んでいくことが重要となっています。」と記載されています。  そこで知事に伺います。水災害対策の最重要課題であります治水対策について、国が推進している三か年緊急対策及び五か年加速化対策において、本県管理河川では、どのような治水対策を行っているのかお答えください。  次に、SDGsへの取組についてお伺いします。ここ数年の間に、このSDGsという言葉を日常会話の中でよく耳にするようになりました。言うまでもなく、このSDGsとは、持続可能な世界を実現するため、世界各国が国連総会で合意した二〇三〇年までの国際社会全体の共通の目標とされているものです。政府による二〇一六年十二月のSDGs実施指針の決定から約六年が経過し、SDGsの浸透は一定程度は進んできましたが、とはいえ、中小企業へのさらなる浸透が、依然課題として残されています。中小企業は、地域社会と地域経済を支える存在であり、中小企業の方々のSDGsへの取組を後押しすることが重要です。  こうした現状を踏まえ、我が会派は、昨年十二月議会の代表質問において、県内企業がSDGsに取り組む意義と支援の必要性について知事の考えをただしました。知事は、企業の取組を支援するため、SDGs登録制度についての検討会を立ち上げ、検討を進めていくとお答えされましたが、その後約十か月が経過し、検討会において、これまでどのような検討を行ってきたのか、またこれまでの検討状況を踏まえ、福岡県としてどのような登録制度を創設するのか、知事のお考えをお答えください。  さらに、持続可能な世界の実現には、人と動物の健康及び環境の健全性は一つのものとするワンヘルスの取組が重要であると考えます。本年八月には、福岡県ワンヘルス推進基本条例に基づくワンヘルス宣言事業者登録制度が開始されましたが、この制度との関係についてどのように考えているのか、併せてお答えください。  現在、県内企業を取り巻く状況は、新型コロナウイルス感染症の再拡大や、ウクライナ情勢の長期化に伴う原油価格や物価の高騰など、予断を許さない状況にあります。特に経営に不安を抱える中小企業は、まず優先して経営基盤の強化、事業の継続、雇用維持に取り組まれています。現在検討を進めておられる登録制度に企業の皆さんに参加してもらうためには、企業にとってこの制度が魅力的な制度であり、さらに優遇措置が設けられるなど、具体的なメリットが必要です。  そこで知事にお伺いします。現在検討されている登録制度について、登録した企業に対しどのような支援を行っていくのか、知事のお考えをお答えください。  企業が行うSDGsにつながる取組は幅広く、本業のビジネスを通じた貢献だけではなく、寄附やボランティアなどを通じた社会貢献など様々なゴールの設定が考えられます。特に中小企業におかれては、これまでもSDGsに貢献されていても、どうゴールとつながっているのか、またその取組をどのようにしてPRしていけばいいのか分からないといった経営者や担当者の方々も多いと思われます。  そこで知事にお伺いします。県内企業、特に中小企業の方々にSDGsへの理解を深めていただくために、これまでどのような取組を行ってきたのか、また登録制度への中小企業の参加を促すため、どのような周知を行っていくのか、知事のお考えをお答えください。  次に、ESG債の発行についてただします。ESG債は一般の債券とは異なり、資金使途が限定されていることから、発行体としては環境問題や社会的課題への取組をアピールできますし、投資家としてもESG債への投資を通じ社会貢献につながるなど、双方にとってメリットがあるのではないかと思います。このようなことも相まって、年々地方自治体の発行も増加傾向となっているようです。今年に入り、日米の金利格差の拡大に伴う急激な円安の進展など、金融市場を取り巻く環境は刻一刻と変化しています。福岡県としてESG債を発行するお考えはないのか、知事のお考えをお聞かせください。  次に、県民の間でも言葉自体はしっかりなじんできたマイナンバーカードの普及促進についてお聞きします。マイナンバーカードは、対面でも、オンラインでも、安全、確実に本人確認を行うことができるデジタル社会の基盤となるツールと言われています。例えば、健康保険証としても使え、全国どこにいても医療機関や薬局で過去の服薬履歴や特定健診情報が確認できます。また、確定申告をはじめ、子育てなどに関する手続もオンライン申請で便利に行えます。公金受取口座を登録することで、年金や児童手当など、今後申請をするときに口座情報の記入や通帳の写しなどを提出する必要がなくなります。さらに、近年では新型コロナワクチン接種証明書がスマートフォンアプリで取得できるなど、その利活用シーンは拡大しています。  国は、令和四年度末までにはほぼ全国民に行き渡ることを目指し、政府全体で普及促進に取り組んでいます。岸田総理大臣自らマイナンバーカードの普及と利便性向上を強力に進めるよう指示されていると聞き及んでいるところです。六月三十日からは、マイナポイント第二弾のポイント申込みが始まりました。これは、マイナンバーカードの普及のみならず、キャッシュレス決済の拡大や消費の喚起を図る経済対策の一環として実施されるものです。国は、ポイント対象のカードの申請期限である本年九月末までの間に、申請機会の拡大に重点的に取り組むことを自治体に要請しています。併せて、出張申請受付時の商品券配付を含む市町村の取組に対し、交付事務費補助金による手厚い支援策も講じられているなど、国としては異例の意気込みのようです。  しかしながら、このように国を挙げてマイナンバーカードの普及促進に取り組んでいるにもかかわらず、本年六月一日現在の全国の交付枚数は約五千六百六十万枚、人口に対する交付率は約四五%程度にとどまり、さらに全国約千七百の自治体ごとに見れば、八四・九%から一九・四%まで、取組次第で大きく差が生じているとも聞いております。  そこで、本県におけるマイナンバーカードの交付状況はどうなのか、本県においても市町村により大きな差が生じているのかどうか、実情をお示しください。  また、交付率が高い市町村は、どのような取組を行ってきたのか、併せてお尋ねいたします。  国は、デジタル田園都市国家構想基本方針を本年六月七日に閣議決定いたしました。その中でもマイナンバーカードについては、「普及を強力に推進する。」と記載されています。一方で、同じ基本方針の中で気になる記述もありました。「二〇二三年度から、マイナンバーカードの普及状況等も踏まえつつ、マイナンバーカードの交付率を普通交付税における地域のデジタル化に係る財政需要の算定に反映することについて検討する。」というものです。これによれば、カードの普及が進んだ自治体は手厚い財政支援を受け、カードを活用した行政サービスなど地域のデジタル化に係る取組をより一層展開できることになります。一方、カードの普及が遅れた自治体は十分な財政支援が受けられず、デジタル化に関する自治体間の格差が拡大する事態も危惧されるところです。県としては、全ての県民が、その住んでいる場所にかかわらず、行政サービスの利便性向上などデジタル化の恩恵を受けられるようにする必要があります。デジタル化の取組において、自治体間の格差が生まれることがないよう、マイナンバーカードの普及促進を市町村にしっかり働きかけていかなければなりません。  そこで、カードのより一層の普及を進めていくために、市町村に対してどのような働きかけを行っているのかお尋ねします。  また、出張申請受付や申請サポートの実施など、カードの普及促進に取り組んでいる市町村に対し、県としてどのような支援を行っているのか、併せてお尋ねいたします。  次に、本県独自の青少年健全育成の取組である青少年アンビシャス運動についてです。平成十三年に、当時の麻生知事が、家庭や地域の教育力の低下、学校におけるいじめ問題や学校週五日制の実施などの青少年を取り巻く環境の変化を踏まえ、一人一人が二十一世紀を担う豊かな心、幅広い視野、大きな志を持つたくましい青少年を育成する取組として提唱し、進めてきました。しかしながら、運動開始から二十年が経過し、その間少子、高齢化、国際化、情報化が急激に進行するなど、青少年を取り巻く環境も大きく変化してきています。また、この数年は運動に対する県民の関心も下がり、盛り上がりに欠けてきているのではないかと感じているところです。  そこで服部知事にお聞きします。知事は、就任以来、新しい時代の県政を進めるに当たり、三つのことに挑戦していきたいと述べられており、その第一に、次代を担う人材の育成を掲げておられます。運動開始から二十年が経過した青少年アンビシャス運動について、次代を担う人財の育成という観点から見直しを行い、改めて服部カラーを前面に打ち出し、次のステージに進んでいくべきではないかと考えますが、この点、知事はどのようにお考えでしょうか。  さて、青少年アンビシャス運動の取組の一つとして、子供の居場所づくりを進めるアンビシャス広場というものがありますが、その数は年々減少しています。一方で、福祉の観点から生まれた子供食堂は、厳しい家庭環境にある子供を支援するために食事の提供を行うなど、地域の大人たちを中心に子供の居場所づくりを進め、その数は年々増加しています。先日、子供食堂の運営者に直接話をお聞きする機会がありました。子供食堂には、食事だけでなく調理体験、地域の大人との交流などを楽しみに通ってくる生活困窮家庭の子供もいるとのことでした。また、厳しい家庭環境にある子供が利用しやすいようにするために、生活困窮家庭の子供だけではなく、地域の子供が、誰もが利用できるようにしていると聞きました。  そこで知事にお尋ねします。子供食堂は、厳しい家庭環境にある子供を必要な支援につなげていくという重要な役割を果たしていることから、県として支援すべきと考えますが、いかがでしょうか。  また、地域において年齢の異なる多くの子供が集まり、地域の大人たちと交流する場にもなっていることから、子供食堂と連携し、青少年健全育成の取組を進めてはいかがでしょうか。  それでは次に、教育問題についてただします。初めに、教員免許更新制廃止後の教員の資質向上対策と小中学校における教師不足への対応についてであります。昨今、小中学校における教師不足の問題が新聞報道などで度々取り上げられています。この問題の背景には、いわゆる団塊の世代大量退職に伴い大量採用が行われ、講師と呼ばれる臨時的任用教員の多くが正規教員として採用されてしまい、その結果、講師として任用できる人の数が減っているという現状があるようです。  昨年、文部科学省は、初めてとなる教師不足に関する実態調査を実施しました。この調査結果によりますと、本県では昨年五月一日現在、政令市以外の県域の小学校で六十九人、中学校で五十九人の欠員が生じていた実態が明らかになりました。言わずとも、学校へ配置すべき教員を確保できなければ、学校のさらなる多忙化を助長し、先生方を疲弊させるだけにとどまらず、子供たちへしわ寄せが行きます。  このような中、国においては、教師不足を解消するための対策の一つとして、本年五月に教育職員免許法を改正し、平成二十一年四月に始まった教員免許更新制を廃止しました。具体的には、教員普通免許状の十年という有効期間を撤廃し、これに伴い、更新のために受講を義務づけられていた三十時間の更新講習を廃止しています。教員免許更新制の下では、教員免許状を持ちながらも民間企業で働いている人など、これまで教壇に立っていない人たちが免許状の更新手続ができずに未更新のままでいるケースが増えていたことも、近年教員を確保することが困難になってきている要因の一つとも言われています。今般、教員免許更新制が廃止され、ブラックともやゆされている学校で働く先生方にとっては、更新講習を受講する負担がなくなり、ゆとりが生まれることになります。また、昨今教師という職業のイメージが低下しているとも言われている中、多少なりともその魅力アップを後押しすることにつながるかもしれません。その反面、教員の質の低下を招くのではという懸念の声も聞こえてきます。我が会派としても、教員免許更新制の廃止と教師不足の問題が相まって、教員の質の低下につながることを大いに憂慮しているところであります。  そこで教育長に伺います。教員免許更新制の廃止に伴って危惧される教員の資質低下についてはどのような見解を持ち、そのような事態を招かないためにも、本県教員の資質をどのようにして維持向上させていかれるのか、方策的なものをお聞かせください。  さて、教師不足を解消するには、教師になるための前提となる資格である教員免許状の取得を目指す学生を増やすことが、まず必要であります。本年六月に文部科学省が公表したデータによりますと、近年、小学校の教員免許状取得者は増えておらず、中学校と高等学校の免許状取得者は減少しているということを伺っています。そこでお聞きしますが、この教師不足については放置できるものではなく、現状が常態化することは何としても避けなければなりません。県教育委員会としては、今こそ総力を挙げてこの問題に取り組み、抜本的な方針を早急に打ち出すべきであります。  そこで教育長に伺います。今年度、県教委直轄の小中学校における教師不足の現状はどのようになっているのか、また今後その解消に向けてどのように取り組んでいかれるのかお聞かせください。  さて、私が県議団を代表してこの質問を閉じるに当たり、本年、我が福岡県で開催予定のFAVA大会について述べておきます。新型コロナウイルスが猛威を振るう中、WHOが七月下旬に緊急事態を宣言したサル痘の患者が国内でも見つかるなど、まさに県民は人獣共通感染症の脅威を改めて感じております。また、最近発生したエボラ出血熱やSARS、MERSなども、新型コロナウイルスと同じく、人と動物の間を行き交う人獣共通感染症で、ワンヘルスアプローチによる対応の重要性をひしひしと感じるところです。  こうした中、我が国で二十七年ぶりとなるアジア獣医師会連合大会、いわゆるFAVA大会が本県で開催されます。大会に先駆けて開催されるFAVA代表者会議では、FAVA日本事務所の設置場所についても正式決定されています。FAVA日本事務所の設置については、本年二月二十五日に、藏内日本獣医師会会長から服部知事に対し、福岡県への誘致に向け検討してもらいたいとした趣旨の要請がなされました。これを受け、二月議会において、我が会派は国連ハビタット福岡本部を誘致した際と同様に、FAVA日本事務所の設置についても県民挙げてこれと取り組み、言わば県民運動的な誘致活動を展開すべきだと、県当局にその意気込みをただしたところです。その際知事からは、国連ハビタット福岡本部の誘致の取組を参考にして、FAVA日本事務所の本県への誘致について、県獣医師会、関係自治体、地元経済界の皆様とも相談をしながら取り組んでまいりたいと答弁をいただいております。  その後、県では、交通の利便性が高く、MICE機能が充実しており、またFAVA大会の開催地であるという理由から、設置場所の候補を福岡市として、同市をはじめ経済団体、関係団体と協議を進め、七月二十六日に、服部知事、桐明県議会議長、高島福岡市長、伊藤福岡市議会議長、倉富九州経済連合会会長、谷川福岡商工会議所会頭、蓮澤県医師会会長、草場県獣医師会会長の連名によるFAVA日本事務所の福岡市への設置要請書を藏内会長に手交されました。さらに、八月六日に開催されたFAVA執行部会議において、FAVAの次期会長でもある藏内会長が、ワンヘルスに特化したFAVA日本事務所の福岡市設置について提案され、FAVA執行部全員一致で了承されたと聞き及んでいるところです。正式決定は、具体的な事務所の設置場所も含めて、十一月のFAVA大会直前に開催されるFAVA代表者会議となるとのことですので、誘致を進めてきた県としても、事務所をどこに設置するのかを早急に日本獣医師会、県獣医師会と詰めていく必要があると考えます。  そこでお聞きしますが、アジア、そして世界におけるワンヘルス実践活動をリードするFAVA日本事務所の設置場所について、知事はどのような見解と見通しを持っているのか、この際その所信をお示し願います。  次に、先月、藏内勇夫日本獣医師会会長が、米国フィラデルフィアで開催されたアメリカ獣医師会総会にて挨拶され、アジア獣医師会連合に加盟し、共にワンヘルスに取り組んでいこうと呼びかけられました。また、福岡県とハワイ州の姉妹提携四十周年を記念して視察されたハワイ州立大学にはワンヘルスの講座があり、学生とも意見交換したとのことですが、そのうち一人は医学生であり、ワンヘルスのカリキュラムを履修することで、より広い視野を持って社会に貢献したいと、熱い思いを話していたそうです。  大学教育におけるこのような先進的な取組を、ワンヘルスの先進地域である福岡でも、例えば大学で開設する社会人講座の単位履修のような形で実現できないでしょうか。御存じのように、本県には県が設立した三つの大学があります。口腔の健康を学ぶ九州歯科大学、環境や食と健康を学ぶ福岡女子大学、看護や福祉を学ぶ福岡県立大学、これら県立三大学の資源を生かしたワンヘルス教育の推進を提案します。  まず、知事には三大学におけるワンヘルス教育の推進について、所見を伺います。  一方、ワンヘルスで活躍する人材は、ワンヘルスに関する問題解決のために、広範な知識を備える必要があると考えます。このため三大学を超えた複数の大学の連携が必要となるなど、様々な課題も考えられます。  そこで、今回のハワイ大学でのワンヘルス教育に関する調査の成果も踏まえ、三大学とハワイ大学との交流を進めてはいかがでしょうか。  さらに、三大学におけるワンヘルス教育の実現に向けてどのような課題があり、県としてどう関わっていくのか、知事に見解を求めます。  最後になりますが、今回のFAVA大会は、アジアからのワンヘルスアプローチをテーマに掲げ、ポストコロナ時代の幕開けとして、日常生活や経済活動の再出発を期す記念すべき大会であり、必ず成功させねばなりません。このFAVA大会に関し、知事は、今年の二月議会の我が会派からの質問に対し、この大会を契機に、本県ワンヘルスの先進的な取組を国内外に発信し、県民の理解を促進していきたいと答弁され、その代表例として、ワンヘルスの理念に沿って生産された農林水産物等を認証するワンヘルス認証制度の創設と、都市近郊にありながら豊かな自然を持つ四王寺県民の森のワンヘルスの森としての整備を挙げられました。我が会派としても、これらの取組は、日々の生活の中で県民がワンヘルスの考え方や重要性に触れることでワンヘルスへの理解を深め、関心を高めることができる大変有意義なものであると評価しており、国内外から参考にされるような取組としていかなければならないと考えております。  既に始まっているこうした取組も踏まえて、今回のFAVA大会は、福岡県をワンヘルスの先進県としてより進化させていく大きな契機になるものと期待されます。あと二か月に迫ったFAVA大会の成功に向け、改めて取組内容と知事の決意をお答え願います。(拍手) 3 ◯議長(桐明 和久君) 服部知事。 *知事答弁 4 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。御答弁を申し上げます。  まず、電気代高騰などへの支援策についてお尋ねがございました。先般国は、物価・賃金・生活総合対策本部を開催し、地方自治体が地域の実情に応じた対策を講じることができるよう、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を創設し、今後閣議決定がなされる見込みでございます。県といたしましては、積極的にこの交付金を活用し、電力、ガス、食料品等の物価高騰の影響を受けておられます医療機関、介護サービス事業所、障がい福祉サービス事業所、児童福祉施設、私立学校などに対する支援を速やかに実施いたしますため、その対策を盛り込んだ補正予算案を今議会中に提案させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。  また、現段階では見通せない情勢の変化も考えられますことから、引き続き物価高騰等が県民、事業者に与える影響をつぶさに捉え、県議会の皆様とも御相談させていただきながら、県民、事業者に寄り添い、機動的な対応を図ってまいります。  昨年度の県税収入の決算についてでございます。昨年度の県税収入の決算額は六千九百八億円でございまして、前年度決算比で九・三%、五百八十六億円の増となりました。県税収入の増収の主な要因でございますが、一つは、地方消費税が原油価格の高騰等に伴い輸入額が増加したこと、消費税率引上げの影響が大きかったことによりまして、前年度決算比で三百二十二億円余の増収となったことであります。また、法人二税につきましても、運輸業、宿泊業、飲食サービス業など、一部の業種ではコロナ禍前と比べ減収となっている一方、巣籠もり需要の影響によりまして、小売業やクレジットカード業などのサービス業で大きく増収となっておりますほか、半導体の需要増により電気機械器具製造業で増収となるなど、全体では前年度決算比で二百二十六億円の増収となったことによるものでございます。  次に、今年度の県税収入の見込みについてでございます。今年度の当初予算におきましては、昨年度の県税収入の状況を基に、地方財政計画、国の税制改正による影響額及び本県内の企業収益の動向等を勘案いたしまして、前年度決算比で九八・八%、八十二億円減の総額六千八百二十六億円を計上いたしております。七月末現在の県税収入の実績額を見てみますと、県税全体で前年度同月比一〇二・八%となっております。法人二税につきましても、企業業績が堅調に推移しておりますことから、前年度同月比一〇四・〇%と当初予算を上回る水準で推移しておりますことから、現時点では県税収入は確保できるものと考えております。しかしながら、海外景気の下振れ、物価上昇による家計や企業への影響や供給面での制約等による下振れリスクもございますことから、今後とも経済情勢を注視しながら、年度後半の県税収入を左右いたします十一月における法人二税の中間申告の状況を注意深く見極めてまいりたいと考えております。  次に、本県経済の現状と今後の動向についてお尋ねがございました。六月の鉱工業生産指数を見ますと、自動車や汎用・生産用機械等の回復によりまして、五か月ぶりに前月比プラスになりました。また、百貨店、スーパーの販売額が七月まで十か月連続で前年同月比プラスとなるなど、家計消費も持ち直しております。これらのことから、県経済の現状は緩やかに持ち直していると判断しておるところでございます。  一方で、日本銀行の企業短期経済観測調査、いわゆる日銀短観等によりますと、原材料価格の販売価格への転嫁が依然として十分には進んでおらず、農林水産業や製造業をはじめ様々な分野の事業者において、経営への影響が及んでいるものと認識いたしております。さらに、総務省が発表いたしました七月の消費者物価指数を見ますと、全国では前年同月比二・四%の増、九州では二・二%の増となりますが、そのうち食料では、全国で四・四%増、九州で四・五%増、光熱水費は全国で一四・七%増、九州で九・七%増と生活に不可欠な商品、サービスの価格の上昇が続いており、県民の皆様の負担感が増しておるものと認識いたしております。  今後の動向につきましては、経済社会活動の正常化が進む中で、景気が持ち直していくことが期待されますが、世界的な金融引締め等を背景とした海外景気の下振れが景気を下押しするリスクとなっておりまして、物価上昇による企業や家計への影響や供給面での制約等に十分注意する必要があると考えております。  次に、危機に強い経済構造を実現するための補正予算についてでございます。二年半以上に及びますコロナ禍で打撃を受け、さらにロシアによるウクライナ軍事侵略による原油価格・物価高騰が続く中におきましても、将来の産業や経済発展のための種をまき、芽を育てていくことによって税源を涵養し、危機に強い財政基盤をつくることが重要でございます。このため、提案中の九月補正予算におきましては、本県経済の発展と活力の原動力であり、雇用の八割を担っていただいております中小企業の皆様を支えるため、デジタル技術を活用した生産性の向上や新技術、新製品開発等を支援してまいります。また、グリーンデバイス開発・生産拠点構想の実現に向けまして、県内の半導体関連企業では人材の確保が喫緊の課題となっておりますことから、県内外の理工系学生を対象としたプロモーションツアー等を新たに実施してまいります。さらに、二〇五〇年のカーボンニュートラルを目指す中、水素を動力源とするFCトラックの早期普及を図りますため、県内物流事業者への導入支援や運行データ等の情報発信によりまして、導入意欲の喚起を図ってまいります。本県の基幹産業でございます農業分野では、熟練農業者あまおうのたくみが持つ高品質、高収量のあまおう栽培技術を新規就農者に伝承してまいります。このような明日につながる投資によりまして、コロナ禍における原油価格・物価高騰を乗り越えるだけではなく、本県の経済構造を社会経済情勢の変化に対して強靱で持続可能なものに変革してまいりたいと考えております。  次に、新型コロナの全数届出の見直しについてでございます。現行の全数届出制度では、陽性者を診断した医療機関は発生届の作成に、発生届を受理した保健所は、その登録事務や重症化リスクが高い方の抽出に追われておりまして、いずれも事務作業が大きな負担となっております。見直し後は、発生届の対象の方が限定され、これらの事務作業が大幅に軽減いたしますため、医療機関は患者の診療に専念していただき、保健所は重症化リスクが高い方々の受診や入院の調整、健康観察、そして相談対応等をより丁寧に行い、こうした方々の命と健康を守ることができるようになります。  一方で、発生届の対象以外の方は、保健所から医療支援や生活支援の情報が届かなくなりますことで、これまでどおりに支援が受けられるのか、あるいはどこに相談すればよいのか、不安に感じることが懸念されます。このため、対象以外の方にも安心して療養生活を過ごしていただけますよう、今、保健所等が担っております、療養中に症状が悪化したときの相談対応、宿泊療養施設の入所受付、食料品等が入手困難な方への生活支援、自己検査で陽性となった方の陽性登録、こういった機能に、保健所に多数問合せが寄せられております療養証明に関する相談対応、この機能を福岡県独自に新たに加えることといたしまして、これらをまとめて健康フォローアップセンターとして案内をしてまいります。具体的には、医療機関で検査を受ける方には受診されるときに、県が配付した検査キット等で陽性者登録をされる方には登録をされるときに、フォローアップセンターの各連絡先を御案内し、その後の支援に確実につなげてまいります。  コロナとインフルエンザとの同時流行への備えについてお尋ねがございました。南半球のオーストラリアでは、三年ぶりにインフルエンザが流行いたしました。今後、我が国でもインフルエンザが流行してコロナの感染拡大と重なった場合には、発熱外来の逼迫を回避することが重要であります。そのためには、インフルエンザとコロナの検査を同時に受けられる診療・検査医療機関、いわゆる発熱外来のさらなる拡充が不可欠でございます。このため発熱患者の外来診療等を行った場合の診療報酬の加算や簡易診察室の整備などの支援制度につきまして、県医師会や保健所等を通じ、全ての医療機関に改めて周知を行います。その上で、できるだけ多くの医療機関に発熱外来としての指定を受けていただけるよう要請を行ってまいります。また、第七波では、発熱外来の逼迫を回避するため、県が配付したキット等で検査し、医療機関を受診せずに陽性者登録できる仕組みを構築いたしました。今後、インフルエンザとの同時流行が見込まれる場合には、この取組の継続も検討をしてまいります。加えまして、新型コロナワクチンやインフルエンザワクチンの接種を、引き続き促進してまいります。  食料の安全保障強化につきまして、過度な輸入依存からの脱却に向けた取組についてお尋ねがございました。県では、これまでも輸入に依存しております麦や大豆、畜産物の生産拡大に向け、高性能機械、施設や優良家畜の導入、またラーメン用小麦ラー麦やはかた地どりといった県独自の品種の開発などに取り組んでまいりました。この結果、麦は全国第二位、はかた地どりも九州一の出荷羽数となるなど、生産が拡大をいたしております。こうした中で、昨今の穀物等の価格高騰に鑑みまして、できる限り県内での生産を拡大していくことが必要であるとの思いを強くしたところでございます。このため六月補正予算により、県産小麦の生産性と品質を向上させるため、農地の団地化やロボットトラクターなどスマート農業機械の導入を進めております。また、小麦の代替として期待でき、大豆と同様に転作作物として水田の維持、活用につながります米粉用米の利用拡大を図りますため、県産の米粉を使用した新商品の開発、販売拡大といった明日につながる取組を支援しております。  加えまして、農産物の生産に欠かせない化学肥料や家畜の餌となる飼料も、その原料のほとんどは輸入に依存をいたしております。このためリスクに強い体制への転換に向けまして、必要な予算を今議会に提案しているところでございます。具体的には、国に先駆けて打ち出しました県独自の肥料価格高騰対策は、その後に国の新たな対策が示されました。このため国の対策を活用しつつ、その肥料購入助成の要件でございます二つの化学肥料低減の取組を上回る三つの取組を実施する農業者に対し、ワンヘルスの推進にもつなげますため、県独自の上乗せ助成を新たに実施したいと考えております。また、飼料価格の急騰を受け、畜産農家の経営継続を図るため、県独自の支援策といたしまして、配合飼料や乾牧草の購入に対する助成を新たに実施するとともに、配合飼料原料の自給率向上に向け、収穫機械や飼料用粉砕機など、生産、加工に必要な機械の導入を支援してまいりたいと考えております。  県といたしましては、今後とも必要な対策を適切に講じ、農業者の経営安定と県産農産物の生産拡大を図り、過度な輸入依存からの脱却を図ってまいります。  物価高における中小企業への支援についてでございます。中小企業は、雇用の八割を担っていただいております本県経済発展の原動力でございます。長引くコロナ禍や原油価格・物価高騰の影響が深刻化いたします中で、本県の中小企業支援策につきましては、事業継続の支援と危機に強い経済構造の実現、言わば明日につながる支援、この二つを柱に据えて取り組んでおります。さきの六月議会におきましては、事業継続の支援といたしまして、プレミアムつき地域商品券の発行に対する支援や、本県を修学旅行の行程に組み込んだ県内外の学校に対するバス代の助成、明日につながる支援として、国の持続化補助金やものづくり補助金に対する上乗せ補助、経営革新計画の実現に取り組む中小企業に対する新商品、新サービスの開発や経費削減への支援などにつきまして補正予算を御議決いただいたところでございます。  これに加え、さらなる原油価格・物価高騰に対応していくための新たな対策といたしまして、今回の九月議会では、事業継続の支援として、県制度融資に保証料を全額県が負担する物価高騰特別枠の創設、トラック運送事業者が燃費向上のために行うエコタイヤの購入に対する助成制度の創設、先ほど申し上げました修学旅行のバス代助成の倍増、また明日につながる支援といたしましては、デジタル技術を活用した生産性向上に必要な設備導入に対する支援の拡充、新技術、新製品の開発に対する助成や、工業技術センターにおける低コスト化製品開発促進のための機器整備などの補正予算をお願いしておるところでございます。今後とも、厳しい経営環境にある県内中小企業の事業継続とさらなる成長発展に向けて、しっかりと取り組んでまいります。  防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策及び五か年加速化対策における治水対策についてお尋ねがございました。平成三十年度から取り組みました三か年緊急対策では、豪雨災害が激甚化、頻発化しておりますことから、緊急的かつ早期に事業効果を発揮する対策を実施し、令和二年度までに完了いたしております。具体的なハード対策として、福岡市の那珂川ほか三十五河川で約三十万立方メートルの河道掘削、大野城市の御笠川ほか十六河川で、河川の流れを阻害しております樹木の伐採を行い、河川の流下能力の向上を図りました。また、ソフト対策といたしましては、災害時の避難行動や水防活動が適切に実施できますよう、水位計を大川市の花宗川ほか四か所に設置しております。  次に、令和二年度から取り組んでおります五か年加速化対策では、国土強靱化をさらに加速化させるため、重点的、集中的に対策を実施することといたしております。ハード対策としては、小郡市の宝満川などで河道掘削を進めますとともに、近年甚大な浸水被害が発生いたしました久留米市の山ノ井川での堤防かさ上げや、池町川での地下調節池、地下放水路及び排水機場の整備といった河川整備のさらなる加速化に取り組んでおります。また、ソフト対策といたしまして、水位計、河川監視カメラの設置、洪水浸水想定区域図の作成も進めております。今後も五か年加速化対策の予算などを活用しながら、早期に事業効果が発揮されますよう治水対策を推進し、防災、減災、県土強靱化に取り組んでまいります。  SDGs登録制度の検討状況とその内容についてでございます。本県では今年一月、商工団体や金融機関などで構成いたします登録制度検討会を立ち上げまして、県内企業の皆さんのSDGsへの取組が一層促進され、地域経済の活性化にもつながるような制度の創設に向け、どのような内容や方策が効果的か議論を行ってまいりました。この検討を踏まえまして、今年十月をめどに制度を立ち上げたいと考えております。  登録制度の内容は、まず、社会、経済、環境の三つの側面から取り組むべき項目を具体的にチェックシートで示すことによりまして、多くの企業にとって分かりやすく、SDGsに取り組むきっかけとなる制度、また各企業の取組を見える化をしまして、県民の皆様や取引先、金融機関等に広く知っていただきますことで、新たなビジネス機会の創出や認知度、信用力の向上、人材確保にもつながるような実効性の高い制度にしたいと考えております。そして、脱炭素、感染症対策、ダイバーシティーなど、県としても進めておりますSDGsの目標の達成に向けた取組を着実に前進させることができる制度を目指しております。  ワンヘルス宣言事業者登録制度との関係については、人と動物の健康及び環境の健全性は一つのものとするワンヘルスの理念の実践に関する課題を解決いたしますためには、SDGsに即した行動が重要でございます。このため、ワンヘルスの取組でもございます食品ロス削減あるいは地産地消などをSDGsの登録要件といたしますことによりまして、ワンヘルスがSDGs達成に重要であることの理解を深めていただく考えでございまして、両登録制度の取組を着実に進めてまいりたいと考えております。  この登録企業への支援についてお尋ねがございました。SDGsに積極的に取り組む企業を多くの皆様に知っていただくことが何より大事でございます。このため、各企業が申請し、県の審査を経ましたチェックシートと各企業の宣言書を、そのまま県ホームページに掲載をしまして、対外的に広くPRしたいと考えております。併せまして、新たにオリジナルのロゴマークを作成し、これを企業のホームページや社員の方の名刺などに活用していただきますことで、登録企業であることをアピールできるようにしてまいります。また、県の制度融資でございます、ふくおか県政推進サポート資金の対象とすることも検討しております。さらに、制度の立ち上げに向け、登録制度の検討会に参加いただいております商工団体や金融機関による独自の支援として、SDGsに取り組む企業に対しどういったことができるのか、現在協議をしておるところでございます。  SDGsへの理解及び登録制度への参加促進の取組についてでございます。県では現在、国のSDGs未来都市に選定されております北九州市や大牟田市などと共に、県内各地域でSDGsに関するセミナーを開催しておりまして、これまでに七十八社、四十一団体から二百名を超える参加をいただいたところでございます。このセミナーでは、企業のSDGsへの取組に対する支援実績がある金融機関に協力をいただきまして、SDGsに取り組む意義やメリットなどについて説明しております。また、地元企業の様々な取組、例えば、AIやロボットを活用することで女性や障がいのある人など、多様な人材が活躍できる環境整備の取組、廃棄されるパンの耳を材料としたビール製造の取組などの事例について紹介をしたところでございます。今後、登録制度への参加を促進いたしますため、県内四地域において説明会を開催いたしますとともに、商工会議所、商工会、事業協同組合などの会合に県の担当者が直接出向きまして、丁寧に御説明したいと考えております。また、「福岡県だより」をはじめ県の様々な広報媒体を効果的に活用し、できるだけ多くの企業に登録していただけるよう努めてまいります。  次に、ESG債の発行についてお尋ねがございました。近年、ESG投資が注目を集めておりまして、直近の債券市場の動向を見てみますと、日銀が企業のESG債などへの投資促進のために金融機関に貸し付けますグリーンオペレーションの残高が前年度の一・八倍に増加いたしますなど、ESG債に対する投資家の需要が高まっておるところでございます。また、現在日米の金利差が拡大しておりまして、国債と地方債の金利差、今年三月の二倍となっておるところでございます。こういったことから、今後ESG債の金利が低くなると、低く発行できるということが期待できるところでございます。  このESG債の発行は、環境や社会課題解決への取組を積極的に推進しているということを投資家の皆様にPRする機会となりまして、これにより新たな投資家の確保ができ、本県の資金調達基盤の強化につながることが期待されますとともに、現在本県が取り組んでおります国際金融機能の誘致にも資するものであると考えております。このため今後の債券市場の動向に応じて、ESG債を機動的に発行できますよう準備を進めてまいります。  マイナンバーカードの交付状況についてお尋ねがございました。県内の交付率は、今年の八月末現在で四七・九%となっておりまして、全国平均四七・四%を上回っております。市町村別に見てみますと、最高は六一・二%、最低は二七・八%となっておりまして、市町村によって交付率に差が生じておる状況でございます。交付率の高い市町村では、例えば、休日、夜間に申請受付を行うとか、あるいは地域の公民館や確定申告の会場、またはワクチンの接種会場で出張申請受付を行うとか、あるいは企業、商業施設など民間施設で出張申請受付を行う、またマイナンバーカードを取得した住民の方へ商品券を配付するなど、住民のニーズに応えながら創意工夫を凝らした取組を行っておられるところでございます。  この市町村に対する働きかけと支援についてでございます。県では、マイナンバーカードの普及促進に向けまして、市町村を対象とした説明会や意見交換会を開催をいたしまして、商業施設における出張申請受付の実施などの依頼、また交付率が高い市町村の取組事例の共有などを図ってきたところでございます。特に、カードの交付率が伸びていない市町村につきましては、トップダウンで強力に普及を進めていただきますため、六月以降、市町村振興局長が市町村長等を直接訪問いたしまして、積極的な取組を促してきたところでございます。また、県内の高齢者施設や障がい者施設、商工団体等に対し、市町村の出張申請受付の実施状況を取りまとめまして周知をいたしまして、その活用を呼びかけますなど、出張申請受付に取り組む市町村を支援しております。さらに、現在県では、大型商業施設と市町村との間を調整いたしますなど、いわゆる商業施設の立地市町村の周辺の市町村も含めた合同での出張申請受付を実現するよう協議を進めておるところでございます。加えまして、出張申請受付の場所、回数のさらなる拡大につきまして市町村に働きかけ、お住まいの場所にかかわらず希望する方が円滑にカードを取得できるよう取り組んでまいります。  次に、青少年アンビシャス運動の見直しについてお尋ねがございました。青少年アンビシャス運動では、子供同士が切磋琢磨する体験活動を通じて子供たちの自尊感情を向上させ、将来の可能性を引き出していくという考え方の下で取組を進めてまいりました。これまで地域ボランティアの皆様により、異年齢の子供たちが集い、様々な体験活動を行う場でありますアンビシャス広場が県内各地につくられました。また、読書ボランティアを育成しましたことで、地域の子育てサロンにおける絵本の読み聞かせや学校における校内一斉読書活動などが多く行われるようになりました。こういった成果があったところでございます。  一方で、運動開始時にも憂慮されておりました、情報化社会の進展による子供たちの睡眠、読書、学習時間の減少、あるいは体験、交流活動の減少、こういった状況はますます深刻化しております。このような状況に鑑みますと、今後、運動で取り組まれてきました体験活動や読書活動などの成果を引き継ぎ、さらに発展させていかなければならないと考えております。しかしながら、アンビシャス運動においては、青少年育成の取組における中心的な役割を果たしていただいております市町村の参画を求めておりませんで、県が直接県民に呼びかけて取組を進めてまいりましたことから、その勢いが減速しているのが現状でございます。今後は、放課後児童クラブや子供食堂など、異年齢の子供たちが集まる場が地域に増加しておりますことも踏まえまして、次代を担う人材育成施策全体の中で、市町村と連携しながら、全県下で様々な体験活動を子供たちに提供できるよう運動の見直しを進めてまいります。  子供食堂に対する支援についてお尋ねがございました。昨年五月、子供食堂間の交流や食堂運営に関する研修会の開催などを目的といたしまして、百二十九の団体が加盟する福岡県こども食堂ネットワークが設立され、県は、その立ち上げや広報に協力したところでございます。設立後も、県は同ネットワークの広報支援や、新たな食堂の立ち上げに必要な情報の提供を行いまして、子供食堂同士の連携を進めております。その結果、参加いたします子供食堂の数は、先月末時点では百八十一団体に増加をしているところでございます。また、厳しい家庭環境にある子供を必要な支援につなぎますため、県内五か所の子ども支援オフィスの支援員が子供食堂を順次訪問しております。今後も、このような取組を通じまして情報収集等を行い、この輪、ネットワークを広げ、子供食堂同士の連携が促進されますよう支援を行ってまいります。さらに、最近では物価高騰に伴います光熱水費や食材輸送費の増加などが、子供食堂の運営を圧迫しているとの意見が寄せられております。県といたしましても、こうした実態について把握いたしますとともに、必要な支援の実施に係る予算を今議会に提案させていただきたいと考えておるところでございます。  子供食堂と連携した青少年健全育成の取組についてお尋ねがございました。子供食堂は厳しい家庭環境の子供を支援するだけではなく、子供が地域の大人、あるいは異年齢の子供たちと広く関わりを持ち、心身ともに健やかな成長を育む場にもなり得ると考えております。現在、一部の子供食堂におきましては、食育や調理活動、農業体験、昔遊び体験などの体験を実施しておられまして、このような取組は、子供のチャレンジ精神、コミュニケーション能力、他者を思いやる心を育む上で効果があるものと考えております。県といたしましては、こういった取組をより多くの子供食堂で実施していただきたいと考えておりまして、今後、運営しておられる皆様の御意向を伺いながら子供食堂との連携を図ってまいります。具体的な実施内容等につきましては、青少年アンビシャス運動を見直す中で検討を行ってまいります。  FAVA日本事務所の設置場所についてでございます。この事務所は、ワンヘルスに関するアジア・オセアニア各国における活動情報の収集と共有、FAVAや各国の獣医師会の大会等におけるプログラムの企画協力、国際セミナーの開催などの活動を行うこととされております。また、アジア・太平洋地域における開発途上国の居住環境の改善や気候変動対策などに取り組みます国連ハビタット福岡本部と連携した取組も検討されているところでございます。県といたしましては、こうしたことを念頭に置きまして、FAVA日本事務所の活動や取組が円滑に行える場所を検討の上、できるだけ早く日本獣医師会に対し御提案をしたいと考えております。  県立三大学におけるワンヘルス教育の推進に関する所見についてでございます。県立三大学には、地域医療や食育などを通じ、県民の健康や生活の質の向上に取り組みます歯科医療、看護、栄養、福祉の各分野、また生物多様性の理解などを通じ持続可能な社会づくりに取り組みます環境分野などにおきまして、ワンヘルスの推進に関連した教育研究資源がございます。さらに、ワンヘルスのような複数の教育研究分野をまたぐ課題をグローバルに、かつ分野にとらわれず俯瞰的に考える教育システムも、福岡女子大学において構築されているところでございます。このような特色ある資源を生かし、三大学が、使命の一つでございます地域社会への貢献につながるワンヘルス教育に取り組みますことは、本県のワンヘルスの推進を担う人材育成の観点から有意義であると考えております。  県立三大学におけるワンヘルス教育の実現に向けた課題と県の関わりについてお尋ねがございました。  まず初めに、先月の県議会によりますハワイ州への友好訪問団につきまして一言お礼を申し上げます。当初私は、ハワイ州との友好提携四十周年記念行事に参加をいたしますため、県議会の皆様方と一緒にハワイ州を訪問することといたしておりました。しかし、新型コロナウイルス感染症対策本部長として任務を果たすことが必要となりましたため、訪問を見送らざるを得ませんでした。県議会におかれましては、ポストコロナを見据えた交流を深めるため、同州に友好訪問団を派遣され、ハワイ大学での視察をはじめとする有意義な成果を得られました。また、私のイゲ州知事宛ての親書を、秋田訪問団団長から直接お渡しいただき、ハワイ州訪問がかなわない中でも、両県州との友好関係を深めることができたものと考えております。この場をお借りいたしまして、改めて感謝を申し上げます。  先月、県議会友好訪問団は、ハワイ大学において開発されました分野横断型のワンヘルス教育プログラムの説明を受けますとともに、担当教授や学生と意見を交換されたと伺っております。このハワイ大学のプログラムは、調査や実習による実践的な課題解決能力を養成するものでございまして、大学における教育の推進に当たって参考となる内容であると認識をいたしております。なお、説明を担当されましたサンドラ・チャン教授は、十一月のFAVA大会で講演を行われる予定でございます。ワンヘルス教育に携わる方と接する貴重な機会となるものと期待をしておるところでございます。  さて、新たな教育に取り組む際は、社会状況、あるいは人材の受入先や学生の皆さんのニーズなどに基づきまして、育成する人材像を明確にする必要がございます。その上で、その人材に必要な能力、知識、技術の習得が可能なプログラム編成を検討し、併せてプログラムの実施に必要な三大学が持つ人的、物的資源の活用や、三大学にはない資源を確保する、このための方策について具体的に検討を行う必要がございます。このため、先行するハワイ大学との交流も含めまして、三大学においてワンヘルス教育を実施していくための方策について、三大学と共に調査や検討を進めてまいりたいと考えております。  FAVA大会の成功に向けた取組と決意についてでございます。アジアからのワンヘルスアプローチをテーマに、本県でFAVA大会が開催をされ、獣医学、医学、環境分野の関係者が一堂に会することは大変意義深いものでございます。県ではこの機を捉え、新型コロナをはじめとする人獣共通感染症等に対するワンヘルスアプローチによる解決を目指し、世界トップクラスの研究者が、その研究成果を世界に向けて発信いたします福岡県ワンヘルス国際フォーラムを同時開催をいたしまして、本県の先進的な取組を国内外に発信をしてまいります。また、農林水産物のワンヘルス認証制度につきましては、大会の歓迎レセプションで認証農林水産物を披露いたしますとともに、料理の食材として提供いたしまして、国内外から参加される皆様に、全国初となるこの認証制度、取組をPRしてまいります。  さらに、ワンヘルスの森につきましては、ワンヘルスの理念などに関する多言語表記の解説板や、生息する動植物や森林浴の効能などを学べる展示物を十月末の完成に向けて整備をしておりまして、大会におけるエクスカーションにおきまして、参加者をこの森にお招きし、展示物の見学、森林浴などを通じてワンヘルスを実感していただきたいと考えております。  さらに、FAVA大会と国際フォーラムでは、県民の皆様に参加していただくシンポジウムや県民講座を開催いたします。また、隣接する会場で同時開催をいたします福岡県農林水産まつりにおきましては、認証農林水産物の販売やPRに加え、ワンヘルスと農林水産業との関わりなどを紹介をいたしまして、県民の皆様にワンヘルスへの理解を深めていただきたいと考えております。  私は、県政におけるチャレンジとして、ワンヘルスの推進を掲げており、実践を通じて本県がワンヘルスの世界的先進地と認められますよう、大会の成功に全力を挙げてまいります。 5 ◯議長(桐明 和久君) 吉田教育長。 *教育長答弁
    6 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 教員免許更新制の廃止に伴う本県教員の資質の維持向上の方策についてでございます。教員には、時代の進展に応じて継続的に最新の知識、技能を習得することが求められており、免許更新制が廃止されても、引き続き教員が学び続ける仕組みが必要であると考えております。県教育委員会としましては、教員のキャリアステージに応じて求められる資質、能力を明確にした教員育成指標を平成三十年度に策定しておりますが、今年度中に特別な配慮や支援を必要とする児童生徒への対応、ICTや情報、教育データの利活用などに関する事項を盛り込む改定を行ってまいります。そして、これに基づく研修計画では、時代に即した実践的な学びの機会となるよう研修の質の向上を図るとともに、オンライン環境の活用も含め、効果的な実施手法を積極的に取り入れてまいります。また、様々な方策を研究しながら教員の資質の担保を図り、一方で、過度な負担となることのないよう、県としての取組を進めてまいります。さらに、研修履歴を基に、教員の職責や経験に応じた研修の受講指導や自己研さんの奨励などによりまして、教職の生涯を通じた主体的な学びの実現に取り組んでまいります。  次に、小中学校における教師不足の現状と今後の取組についてでございます。今年度、小学校六十三校で六十六人、中学校三十七校で五十六人の定数欠講師の未配置が生じており、厳しい状況にあると考えております。この解消のためには、新規採用者の確保が重要であり、教員を志望する者を増やすために、県内外の大学生を対象とした出前講座の開催に加え、今年度から高校生に教職の魅力を発信する取組を実施しております。また、採用試験の合格者に対しては、教職生活のスタートを支援する事前研修の充実を図り、採用辞退の防止に努めてまいります。併せて、講師を希望する者の確保を図るため、大学と連携した取組を強化し、新卒者の講師内定の早期化を図るとともに、退職者にも働きかけを行ってまいります。さらに、新たな取組として、国に対しまして大学の教員養成課程の定員の拡大を要望するとともに、採用試験の改善を図り、大学の推薦による特別選考の実施などを検討してまいります。県教育委員会としましては、こうした取組に加え、他県の取組など様々な方策を研究し、市町村教育委員会の御意見もお伺いしながら、全力を挙げて地域間格差を含め、教師不足の解消に努めてまいります。 7 ◯議長(桐明 和久君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時三十分といたします。           午 後 零 時  三十一分  休 憩           午 後 一 時  三十一分  再 開 8 ◯副議長(井上 博隆君) 再開いたします。  休憩前に引き続き代表質問を行います。発言を許可いたします。新井富美子君。(拍手) *新井議員質問 9 ◯十番(新井 富美子君)登壇 皆様、こんにちは。民主県政クラブ県議団、久留米市選出の新井富美子でございます。通告に従いまして、我が会派の代表質問を行います。よろしくお願いいたします。  まず、新型コロナウイルス感染症対策について質問していきます。七月に入り、新型コロナウイルス感染症の陽性者が急増し、全国の新規感染者は八月二日の約二十六万八千人をピークとし、その後、盆明けから次第に減少傾向を見せ、第七波も大きな山を越えたと見られています。本県では、新規感染者が八月十九日に最大の一万五千七百二十三人となり、自宅療養者は八月二十六日に十万八千人へと急増しました。本県においても感染状況はその後減少傾向となっていますが、今月初めに感染者の累計は百万人を超え、県民の五人に一人が感染したことになります。また、第七波の拡大後に死亡した方が急増し、九月一日には過去最多の二十四名が亡くなられ、県内で昨日までの死亡者の累計は千八百七十二名となっております。医療、福祉機関においては現在も陽性者の対応に忙殺されており、コロナとの闘いは二年半を超えるものの、いまだ収束が見通せません。このような中、岸田総理は九月六日に、ウイズコロナという新たな段階へ移行することを発表し、全数届出の簡略化を今月二十六日から全国一律に導入すること、療養期間の短縮化を行うことなどとしました。陽性者の発生の全数届出を見直すことに対しては、医療体制の崩壊を防ぐべきとの意見と、陽性者の生活支援が必要だとの意見から、国の考えも二転三転し、こうした国の対応に地方自治体は翻弄されてきました。  そこで一点目に、このような国の対応について知事の認識を伺うとともに、全数届出の見直しにおいて、医療関係者、保健所、陽性となった方に対し、どのような改善が図られるべきか、お尋ねします。  また、知事は全国知事会において、全数届出を見直すことによって、発生届の対象外となる方を置き去りにするようなことがあってはならないと発言されました。実際に、症状が悪化した場合にどうすればよいのか、生活支援がどのようになるのかという不安の声も多く聞かれます。  そこで二点目に、今後全国一律の見直しが行われた後、新たに発生届の対象外となる方に対して、健康面の支援や生活支援物資の提供をどうされるのか、方針を伺います。  次に、入院と救急搬送の問題についてお聞きします。自宅療養を余儀なくされた方々からは、病院から診療、検査を断られた、陽性と診断された後の対応などの情報が少なく、どうしてよいか分からなかったなどの声が多く上がっています。  そこで、まずお聞きします。本県では、入院、宿泊療養、自宅療養の判断基準はどのように行われているのかお答えください。  また、容体が悪化した方々で、救急搬送を依頼したにもかかわらず、病院への搬送が困難となる事例が多発していることが報道でも明らかとなっています。やむを得ず自宅療養をせざるを得ない場合、療養環境が整っていない自宅では生命の危機につながる場合もあると危惧します。また、長時間の救急車の待機によって、ほかに必要な救急搬送の運営にも大きな影響が出ていると容易に想像ができます。本県ではこれらに対し、入院前の待機ステーション二十床での受入れを既に行っているところですが、十分に機能しているのか、検証も必要だと思います。  そこで二点目に、発熱や呼吸困難の症状を有するコロナ感染の疑いがある患者の救急搬送において、搬送困難となった事例は、本年、何件発生したのかお答えください。  三点目に、コロナ患者の搬送困難の状況にどのように対応しているのかお示しいただくとともに、待機ステーション二十床の利用状況とその検証、また今後の取扱い方針をお聞きします。  次に、最低賃金改定に伴う本県の対応についてお聞きします。八月十二日に開催された福岡県最低賃金審議会において、本年度の本県最低賃金を三十円引き上げるとの答申がありました。これで十月八日から、本県の最低賃金は九百円となります。しかし、この最低賃金では、仮に年間二千時間労働しても、年収では百八十万円、月収では十五万円であり、いわゆるワーキングプアと言われている年収二百万円にも満たない状況です。この最低賃金は長らく四ランクに分けられ、本県はCランクとなっており、全国加重平均の九百六十一円に比べ低い金額に甘んじております。このランク分けによって、全国で最も高い東京都は千七十二円、最も低い沖縄などの十県では八百五十三円と、二百十九円もの地域間格差が生じています。また、昨年の最低賃金の改定では、ランクに関係なく、引上げ額の目安は一律二十八円と示され、ランク制度そのものの意味がなくなってきております。これらの問題を鑑み、県議会でも二〇二〇年十二月定例会において、最低賃金引上げに関する意見書を全会一致で採択し、着実な最低賃金引上げの継続と地域間格差の是正を図ることを国に求めました。最低賃金引上げに関しては、二〇一〇年に麻生知事が最低賃金八百円以上の目標額を掲げ、続く小川知事も最低賃金を八百円以上とすべきであると、全国の知事会で唯一提言してきました。しかし、八百円を達成した後の目標については、二〇一七年九月定例会の我が会派の代表質問に対して、当時の知事職務代理者であった現在の知事である服部知事が、今後検討してまいると述べつつも、金額の明示等はその後行われておりません。また、本県の非正規雇用労働者の割合が二〇一七年時点で四〇%である現状からも、最低賃金の引上げは多くの労働者に大きな影響を与えます。  そこで、以下三点について知事に質問いたします。一点目に、最低賃金の引上げ額についてです。本県以外の九州・沖縄各県は国の目安を上回る三十二円、三十三円の引上げとなる一方、本県は国の目安どおり三十円の引上げにとどまりました。また、本県の賃金は全国でも低いレベルに固定されています。この点について、知事はどのように認識しているのか、お聞きします。  二点目に、そもそも最低賃金の引上げにおけるランク分けについては、本県と全国との賃金格差の固定化を招くことから、廃止に向け取り組むべきだと考えます。知事はどのように認識しているのか、国に廃止を提言すべきだと思いますが、知事はどう取り組まれるのか、お答えください。  三点目に、麻生、小川両知事同様、服部知事も最低賃金の具体的な金額を指し示し国に提言すべきだと考えますが、知事の見解をお尋ねいたします。  次に、育児休業制度の充実について伺います。改正育児・介護休業法の施行に伴い、本年四月より職場の環境整備と育休取得の意向確認の義務化がスタートしました。来月十月からは、子供が生まれた直後に取れる産後パパ育休制度も始まります。我が会派は二〇二一年十二月定例会の代表質問において、労働力人口の減少やコロナで働き方が大きく変わった中、誰でもいつでも仕事とプライベートを両立できる社会の実現に向け、本県職員が男性の育児参加を率先し、牽引していくべきとして、男性の育児休暇取得の推進について質問いたしました。その中で、育休を取らない男性職員には、その理由を記載した不取得理由書を提出する制度を設けてはいかがかとの提案も行ったところです。それに対し知事からは、今後は男性職員に育児休業をはじめ、より長期の休暇、休業の取得を促す観点からも、他県の事例も参考にしながら、より効果的な取組を行っていくとの答弁がありました。  そこで一点目に、その後の県庁における男性の育児休業取得促進に向け、どのような取組を行っているのか、不取得理由書の件を含めお答えください。  また、十月からスタートする産後パパ育休制度の利用に向けた取組についてもお聞かせください。  次に、育児休業という名前についてです。本年四月、東京都は、育児休業を、仕事を休む期間と捉えるのではなく、社会の宝である子供を育む期間であり、子供が親と共に過ごす大切な期間と認識を変えることが必要だとして、育児休業のイメージを一新するための愛称を募集し、育休を、育業とすることと決定しました。ドイツでは、既に二〇〇一年に、それまでの育児休業という意味の名称から、両親の時間という意味のものに変更しており、その結果、男性の取得が以前に比べ三割増えたということです。これは、名称変更が意識の変化を促した成功例でございます。意識の変化と制度の充実の両方を目指すことが必要です。  そこで二点目に、本県でも、育児休業の独自の愛称を提案してみてはいかがでしょうか、知事の認識を伺います。  次に、育児休業取得の現状について見ていきますと、平成二十九年度仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書によれば、男性・正社員では、三日以内が最も割合が高く四三・一%、次いで四日から七日が二五・八%となっています。一方、女性・正社員では、七か月から一年以内の割合が最も高く三九・二%、次いで一年から一年六か月以内が二九・三%となっています。このように、本来は性別に関係なく取得できるはずの育休が、現実には女性の取得に偏ったものとなっています。また、このことは少子化や待機児童などの大きな社会問題と強い関連性があることから、男性育休を推進することが、これらの社会問題解決に大きく貢献すると考えます。  そこで三点目に、福岡県の男性の育児休業取得に関する目標値、またその取得日数の目標値について企業や県民に広く周知することで、男性が育児休業を取りやすい福岡県を目指していただきたいと考えますが、知事の見解をお尋ねします。  次に、手話教育と手話通訳者の育成について質問いたします。我が会派は四月、久留米聴覚特別支援学校を視察いたしました。同校は二〇〇四年、県内の聴覚特別支援学校に先駆け言葉の森宣言を行い、手話を取り入れた教育に取り組んでいます。赴任当時に手話を習得していない教員もいることから、毎月教員向けに手話の研修会を開催し、現在では教員全員が手話を使えるということでございます。しかし、県全体では手話を使える教員は限られています。また、現在、久留米聴覚特別支援学校にて聴覚障がい当事者の教員は五名勤務しており、当事者としての経験を教育に生かし、活躍をされておられます。  そこで一点目に教育長にお伺いいたします。県内政令市を除く県域の公立学校における聴覚障がい当事者の教員数をお示しいただき、聴覚障がい当事者の教員や手話のできる教員を配置する必要性についての教育長の認識をお答えください。また、手話技術を持つ教員の育成について、その取組をお答えください。  次に、手話通訳を担う人材育成について知事にお伺いいたします。現在、知事会見や国政選挙の政見放送など、多くの行政活動や地域の活動の際、手話通訳が行われるようになりました。今後は、これまで以上に手話通訳が一般化していくべきですし、その人材も必要となります。現在、福岡県手話の会連合会に登録され県内で活動している手話通訳者は百四十二名おられますけれども、六十歳以上の方が半数を超え、今年の新規登録者は僅かに三名でございます。  そこで知事に伺います。本県のこれまで行ってきた手話通訳者育成の取組についてお答えください。また、手話通訳が一般化することが望まれる一方で通訳の担い手が少なく、かつ減少していく見通しであるこの現状をどう認識しているのか、その原因への認識とともにお答えください。また、育成への新たな取組についてもお答えください。  以上、御答弁をお願いいたします。(拍手) 10 ◯副議長(井上 博隆君) 服部知事。 *知事答弁 11 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  まず、新型コロナの全数届出の見直しについてお尋ねがございました。八月二十四日、国は、都道府県の判断で全数届出の見直しを実施できるようにするということを発表されました。県では、この発表がありました直後から、医療現場の負担を軽減し、重症化リスクの高い方を守るため、北九州市、福岡市、久留米市の三市と共に、見直しの方向で検討を進めてまいりました。その矢先に、国は突然、見直しを全国一律で行うとの発表を行われました。しかし、その内容や時期については、自治体に対して具体的な説明はございませんでした。このため、県が見直しを行いました後に、間を置かずに国が我々と違うやり方で見直しを行われました場合、医療現場や県民の皆様に混乱を招くおそれがありますことから、大変困惑をいたしたところでございます。現行制度では、陽性者を診断した医療機関は発生届の作成に、発生届を受理した保健所はその登録事務や重症化リスクが高い方の抽出に追われ、いずれも事務作業が大きな負担となっております。見直し後は、発生届の対象の方が限定をされ、これらの事務作業が大幅に軽減をいたしますため、医療機関は患者の診療に専念していただき、保健所は重症化リスクが高い方々の受診や入院の調整、健康観察、相談対応等をより丁寧に行い、こうした方々の命と健康を守ることができるようになります。  この発生届対象外の方への支援についてでございます。全数届出の見直しが実施されますと、発生届の対象外の方は、保健所から医療支援や生活支援の情報が届かなくなりますことで、これまでどおりに支援が受けられるのか、どこに相談すればよいのか不安に感じることが懸念をされます。このため、対象外の方にも安心して療養生活を過ごしていただけますよう、保健所等が担っております療養中に症状が悪化したときの相談対応、宿泊療養施設の入所受付、食料品等が入手困難な方への生活支援、自己検査で陽性となった方の陽性登録、この各機能に、さらに保健所に今、多数問合せが寄せられております療養証明に関する相談対応、この機能を福岡県独自に新たに加えまして、これらをまとめて健康フォローアップセンターとして御案内をしてまいります。具体的には、医療機関で検査を受ける方には受診時に、県が配付した検査キット等で陽性者登録をされる方には登録されるときにフォローアップセンターの各連絡先を案内し、その後の支援に確実につなげてまいります。このように発生届対象外となる方につきましても、引き続き健康面の支援や生活支援を実施してまいります。  次に、入院、宿泊療養、自宅療養の判断基準についてお尋ねがございました。県では、コロナ陽性者の療養先の決定に当たりまして、重症度が高い方が確実に入院できますよう、酸素飽和度や病態に応じた県独自の判断基準を通常時と感染拡大時に分けて設定をいたしております。現在は、感染拡大時の基準に基づき運用しております。具体的には、入院は酸素飽和度九三%以下、宿泊療養は九四%から九五%、自宅療養は九六%以上を目安といたしております。さらに、例えば酸素飽和度九四%から九五%の方に基礎疾患の悪化等が見られる場合は、宿泊療養から入院に、病態を踏まえた変更を行っております。その上で、保健所において、陽性者の療養環境や受入先の状況等を考慮しながら療養先を決定しているところでございます。  コロナ患者の方の搬送困難への対応についてお尋ねがございました。今年一月三日から九月四日までの県内の救急搬送困難事案は二千二百三十四件でございます。その推移を見ますと、第六波での最多の週が百六十件となった後、一旦一桁台まで低下、減少いたしましたが、六月下旬には再び増加をいたしまして、第七波では、八月八日から十四日までの週が最多の二百三十四件となったところでございます。このため、救急搬送を円滑に行えますよう、コロナ病床の空き情報をリアルタイムで関係者間で共有するシステムを全ての消防本部に拡大いたしました。また、夜間及び休日に救急患者を受け入れる重点医療機関の受入れ体制を確保いたしますため、その他のコロナ患者受入れ医療機関に対し、平日の日中における入院調整に対して積極的に協力していただきますよう要請を行いました。このほか、緊急性が高い患者を優先的に搬送することができますよう、コロナが疑われる方が一一九番通報に悩まれる場合は、通報する前に、まずは受診・相談センターに御相談いただきますよう、県民の皆様に呼びかけを行ったところでございます。八月十七日からは、入院の必要な方が自宅待機となることがないよう、待機ステーションを開設をいたしました。開設期間中の利用は十二名、一日最大で四名でございまして、設置規模は適切であったと考えております。九月二日以降は受入れ要請がなくなりましたことから、九月五日をもって閉所いたしましたが、今後の感染状況に応じて再開を検討してまいります。  次に、最低賃金の現状に対する認識についてでございます。今年度の地域別最低賃金の改定により、福岡県の最低賃金は、今年十月八日から、三十円引き上げられ九百円になることが決定をされました。最低賃金の持続的な引上げは、全ての所得層での賃金上昇、消費の拡大、企業収益向上の好循環に資するものと考えます。本県の最低賃金につきましては、福岡地方最低賃金審議会におきまして、中央最低賃金審議会が示した目安額を参考とし、労働者の生計費、労働者の賃金、通常の事業の賃金支払い能力、この三つの要素を考慮しつつ、公労使の委員により地域の実情に応じて十分に調査、審議を尽くした結果として、九百円に決定されたものと認識をいたしております。  この最低賃金の改定におけるランク分けについてでございます。地域別最低賃金の審議に際しては、公労使から成る中央最低賃金審議会が全都道府県を四つに分けまして改定額の目安を示すランク制度を用いております。このランク分けの基準につきましては、県民所得あるいは消費、給与、企業経営の状況に関する十九の客観的指標を基に、各都道府県の経済実態を総合的に勘案して設定されておりまして、一定の合理性があるものと認識いたしております。一方で、ランク区分ごとに改定額の目安が示されておりますことから、県では今年六月、国に対し、これ以上最低賃金の地域間格差が拡大することのないよう必要な措置を講ずることを求めたところでございます。現在、目安制度やランク制度などの在り方につきまして、国の目安制度の在り方に関する全員協議会で議論をされております。県といたしましては、この全員協議会における議論を注視いたしますとともに、より一層地域の実態に即した制度に見直しがなされますよう、この秋にも国に対し要望を行ってまいります。  次に、最低賃金の目標額についてお尋ねがございました。県では平成十九年度から、最低賃金と生活保護費、この保護基準ですね、との整合性を踏まえまして具体的な目標額を設定して、国に対し最低賃金の引上げを提言してまいったところでございます。その後、平成三十年度に、当時の目標額八百円を達成をいたしました。その後は、国の骨太の方針に掲げられました全国平均で千円以上という目標の達成を国に求めてまいりました。現在も政府においては同じ目標額を掲げておられますところでございまして、県といたしましても、早期の千円以上の達成を目指し、着実な引上げを行うよう国に求めてまいります。同時に、その実現に向けて、県として、県内の雇用を支える中小企業、小規模事業者に対し、生産性の向上や取引条件の改善、さらには国の業務改善助成金の積極的活用など総合的な支援に取り組みまして、最低賃金引上げの環境を整えてまいります。  次に、男性職員の育児休業取得促進に向けた取組についてでございます。県では、男性職員が育児に積極的に取り組むことができますよう、今年八月から、一か月以上の休暇、休業の取得を促す新たな取組を始めました。具体的には、収入の減少を心配する職員に対して、有給の休暇や週休日などとこの育児休業を組み合わせました一か月以上の休暇、休業の取得パターンを紹介する、それから五日以上の出産、育児に係る休暇が取得できなかった場合に加えまして、新たに、一か月以上の休暇、休業を計画しなかったり、計画したものの取得できなかった、こういう場合には、その所属長がその理由を提出する、それから家事や育児の分担を夫婦の間で話し合っていただくことができますよう、家族ミーティングシートを配付する、こういった取組を行いますとともに、私からのメッセージを添えました男性の育児休業の取得促進を呼びかけますポスターを作成いたしまして、全所属に掲示したところでございます。十月一日からは、子供さんが生まれてから八週間以内における育児休業の取得回数の制限が二回までに緩和されまして、より育児休業が取得しやすくなります。この制度の積極的な活用を促しますため、先ほど申し上げたポスターにその概要を記載をし、既に周知を行っておるところでございますが、今後は、仕事と子育ての両立支援ハンドブックや庁内のネットワークにおきまして、制度の周知を図ってまいります。  それから、育児休業に対する制度の充実と意識の変化、愛称についてお尋ねがございました。今回の育児・介護休業法の改正では、男性の育児休業取得を促進いたしますため、より柔軟に取得できる産後パパ育休の創設や育児休業を取得しやすい雇用環境整備、個別の周知、意向確認の義務化などの改正が行われまして、制度の充実が図られました。県といたしましては、この法改正を契機といたしまして、事業者、県民の皆様に、改めて男性の育児休業取得に対する意識を高めていただきますため、今年十月から二か月間にわたり、育休のススメ!パパ育フォーラム二〇二二の動画を配信いたします。このフォーラムでは、法改正の内容を解説をいたしますが、このほか、五人の子供さんの父でいらっしゃいます、つるの剛士さんの育児体験を紹介をいたしまして、これから育児休業を取得する男性をはじめとして、県民の皆様に対し、育児のすばらしさを伝えております。また、サイボウズ株式会社の青野慶久社長には私との対談を行っていただきまして、多様化する社会の中で、男性の育児休業取得促進をはじめ、様々な人材が働きやすい環境をつくることが企業の人材戦略にとって重要であることを語っていただいております。  育児休業の愛称については、東京都におかれましては、都民の皆さんが育児休業を気兼ねなく取得できるよう、愛称を工夫されたものと思います。一方で、育児休業あるいは育休という呼び名は社会的に定着しております。また、全国的に同じ制度を自治体ごとに異なる呼び名にいたしますことで、利用する方に戸惑いを与えかねない懸念もございますことから、慎重に検討をしてまいりたいと思います。  男性の育児休業取得に関する目標についてでございます。今年三月に策定いたしました県の総合計画においては、子育て応援宣言企業における男性従業員の育児休業取得率を昨年度の二一・四%から、令和八年度までに三四・七%に引き上げるという数値目標を設定いたしました。育児休業の取得日数につきましては、少なくとも一か月以上の取得を促していく取組が必要であると考えております。現状では、一か月以上取得した方の割合は、年々上昇はしておりますが約二割、いまだ低水準にとどまっておりまして、今回の育児・介護休業法の改正に伴い、取得しやすい環境を整え、より長期の取得を促していくことが必要であると考えております。男性の育児休業取得は、育児や家事の負担を夫婦で分かち合うことで、女性の出産意欲の向上や、出産や育児を機に退職することなく働き続けたい女性の希望を実現することにもつながります。今後も、先ほど答弁したフォーラム、あるいは経済界のセミナーなど様々な機会を通じまして、男性の育児休業取得の先進事例等を企業あるいは県民の皆様に対し積極的に発信をしてまいります。  次に、手話通訳者の育成についてでございます。手話通訳者につきましては、県が実施しております派遣事業だけではなく、民間企業が主催する講演会やセミナー等への派遣要請も増加いたしておりまして、現在の体制では全てのニーズに対応していくことは困難な状況にございます。これまで県では、手話通訳者を育成いたしますため、基礎、応用、実践、この三段階でそれぞれ五か月課程の研修を実施してまいりました。この研修は、ほぼ定員どおり二十人の受講がありますが、研修後に実施いたします登録試験の難易度が高いために、直近の合格者は、議員御指摘のように、三名と少ない状況でございます。今後は、丁寧な実技指導ができる少人数研修を実施をいたしまして、登録試験の合格率アップを図ってまいります。また、報酬が低いことも手話通訳者になろうとする方が少ない要因の一つでございます。このため、既に登録された方に対し毎年実施しておりますスキルアップ研修で、同時通訳などのレベルの高い技術習得を支援をいたしまして、高い報酬を得ることができる人材の育成を進めてまいります。さらに、若い世代の皆様の手話通訳への関心を高めることも重要でございます。今年度から、県内の大学で福祉を学ぶ学生の皆さんに、聴覚障がいのある方がコミュニケーションに対する経験や思いを手話通訳を通じて伝える研修会を実施しているところでございます。 12 ◯副議長(井上 博隆君) 吉田教育長。 *教育長答弁 13 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 聴覚障がいのある教員等の配置と手話技術を持つ教員の育成についてでございます。今年度、小学校に一名、中学校に一名、特別支援学校に二十一名、聴覚障がいのある教員が在籍いたしております。学校におきましては、手話のできる教員の配置により、児童生徒とのコミュニケーションの促進や授業内容の一層の理解が図られるものと考えています。特に、聴覚障がいのある教員には、教員全体の手話技術の向上や児童生徒に対するロールモデルとしての効果が期待できるところです。また現在、聴覚特別支援学校では、教員の手話技術に応じた研修の実施により技術の向上に努めておりますが、小中学校等からの要請に応じて手話のできる教員を派遣するなど、手話技術を持つ教員の育成を支援をしてまいります。 14 ◯副議長(井上 博隆君) 新井富美子君。 15 ◯十番(新井 富美子君)登壇 御答弁をいただきました。三項目について要望をいたします。  まず、男性の育児休業推進について要望をいたします。男性職員の育児休業取得推進に関しましては、国での法改正、そして福岡県でも、一か月以上の休暇、休業の取得ができなかった場合、その理由の提出や知事のメッセージ発信など、ようやく土台が整いました。今後は、このシステムを活用できる職場の環境づくりが求められています。知事には、県庁全体にどのような影響、成果があったかといった情報発信や、各所属長に改めて育休取得の徹底を指導するなど、よりリーダーシップを発揮し、男性の育休取得を推進していただくことを要望いたします。  次に、最低賃金に関して、要望いたします。本県においても早期に千円以上の達成を目指すべきという明確な数字が服部知事としては初めて出され、併せて、このことを国に求めていくことにも言及がありました。麻生、小川両知事に続く取組であり、高く評価するとともに、国への働きかけを強化していただくよう要望いたします。  なお、本県の事務補助を行うフルタイム勤務の会計年度任用職員の一年目の時給は、本年度の月額を基に、年間の勤務日数二百四十三日と、一日の勤務時間である七時間四十五分を割り戻して試算すると、時給は九百七十九円となります。本県が雇用する職員についても、時給千円以上を早期に行うよう、併せて要望いたします。  次に、手話通訳者の育成について要望いたします。知事は、手話通訳者の報酬の低さに触れ、その上で高い報酬を得ることができる人材育成の推進について言及されました。しかし、報酬の低さそのものの問題とその対策については、残念ながら言及がございませんでした。手話通訳者は、聴覚障がい者の意思疎通に必要不可欠な存在であり、またその技術の習熟には長い経験が必要です。しかし、ボランティア的な要素がいまだに根強くあることから、それに見合う地位や報酬は十分ではないように思います。今後は、手話通訳を担う方々の地位向上、報酬の在り方の再構築と支援などにも取り組んでいただけますよう、要望いたします。  それでは、質問を続けてまいります。変革期を迎える自動車関連産業への対応についてお聞きします。北部九州における自動車産業は、百五十四万台の生産能力を有しており、開発、設計から生産までを一貫して担うことができ、本県は、愛知県に次いで我が国を代表する自動車生産の一大拠点へと成長してきました。また、自動車産業は裾野が広いことから、製造業への経済波及効果のみならず、労働者雇用の面にも大きく貢献しており、本県の基幹産業として今後も持続的に発展していくことが望まれています。一方で、世界に目を向けると、脱炭素化や、CASEと呼ばれる新しい領域での技術革新が進むなど、自動車業界は今、百年に一度の変革期を迎えていると言われており、北部九州を取り巻く環境も同様に大きく変化しています。こうした流れを受け、本県は、昨年度に学識経験者や地元自動車メーカーの代表者等から成る北部九州自動車産業新構想検討委員会を設置し、本年三月に提言を受けるとともに、五月には、北部九州自動車産業グリーン先進拠点推進構想を策定しております。ただ、これは文字を見る限り、二〇二一年まであった北部九州自動車産業アジア先進拠点推進構想のアジアからグリーンに文言を変えただけのようにも思われます。  そこで一点目に、北部九州自動車産業アジア先進拠点推進構想についての総括をお答えください。併せて、今回新構想を策定されることになった経緯や新構想の目指すところについてもお答えください。  次に、脱炭素化に取り組む中小企業の支援についてお伺いします。これからの自動車関連産業においては、運転時のCO2 排出量の削減だけでなく、製造から、運輸、廃棄・リサイクルなど、各段階に応じたトータルでの脱炭素化が必要であると言われています。一方で、現状では、中小企業がそれらを実現していくには多くの課題を乗り越える必要があり、全国有数の自動車生産県である本県にとって、至上命題でもあります。また、脱炭素化は、自動車関連産業に限らず全ての産業において求められており、脱炭素化に取り組む他の中小企業に対しても支援が必要だと考えます。  そこで二点目に、自動車部品等を生産する中小企業を含め、中小企業の脱炭素化に対して、県としてどのような支援を行うのか、知事のお考えをお聞かせください。  次に、下請中小企業への救済策についてお伺いいたします。今後生産が拡大される電気自動車は、製造過程において普通自動車と比べて部品数が三分の二となることから、これまで部品製造を請け負ってきた下請企業への影響が考えられます。また、水素燃料電池車は、新規に高度な技術を必要とすることから、下請企業が新たな技術を確立していくための支援が必要です。加えて、今後不必要となる部品を、現在製造している中小企業を他の事業分野へ誘導するなどの支援が必要であると考えます。  そこで三点目に、このように自動車の電動化への対応を目指す中小企業をどのように支援するのか、また他の事業分野への参入も考えている中小企業をどのような分野へ誘導していくのか、知事の考えをお聞かせください。  四点目に、水素ステーションの整備についてお伺いします。現在、本県には十一基の水素ステーションが設置されていると認識しています。しかし、地域偏在があり、FCVやFCトラックなどの燃料電池モビリティーが福岡県にあまねく普及するには困難な状況にあると考えます。こうした課題を踏まえ、今後、どのように水素ステーションの整備を促進していくのか、知事のお考えをお聞かせください。  次に、鳥獣被害、とりわけ鳥類による被害への対策について伺います。二〇二一年度において、鳥獣による農林水産物被害は総額七億四千万円余り、そのうちカラスやヒヨドリ、ハト、カワウなど鳥類による被害は二億七千万円以上で、全体の三七%を占めております。鳥獣対策は基本的に基礎自治体である市町村が行い、捕獲補助金やわな、侵入防止柵などへの補助金は国からの交付金を主な原資としていますが、多くの自治体ではイノシシ、鹿など獣類への対策を重点化しています。しかし、カラスなどの鳥類による農林水産物被害は、さきに述べたように金額ベースで全体の四割近くに上り、加えてカラスがごみステーションを荒らしたり、ハトがふんにより町を汚すなど、多くの県民にとって、鳥類による被害は、時にはイノシシや鹿による被害以上に強く感じられるものとなっています。さらに、市街地でこれらの鳥類を駆除することは難しいため、農地や山間部にある鳥類のねぐら周辺での捕獲や駆除となり、困難を極めます。沖縄県の本島北部で、近年カラスによる果樹被害が深刻化した際に、捕獲したカラス一羽当たりの市町村の補助金五百円に、二〇一三年から県が五百円を上乗せするということで、捕獲率が上昇いたしました。一方、福岡県のカラス一羽の捕獲補助金は、北九州市など多くの市町村で、国の捕獲補助金のみの僅か二百円にすぎず、猟友会の方によれば猟銃の弾丸代のほうが高くつくとのことです。  そこで一点目に、現在、イノシシや鹿などの獣類への対策費が多く配分されていますが、カラスやヒヨドリ、カワウ等の鳥類への対策費を増額し、市町村の取組を推進する必要があると考えます。知事の認識と今後の方針をお聞かせください。  また、鳥類は移動範囲が広く、結果的に被害は広範囲にわたります。他県の例ですが、鳥類被害に遭った農園で鳥の追い払い対策を実施したところ、その農園の被害は収まったものの、近隣の農園の被害が急増したとのことでした。本県のイノシシ及び鹿については、県策定の五か年計画に基づいて広域的な駆除等の対策を実施していることは承知していますが、鳥類対策においても、県が主導しながら自治体の枠を超えた広域的な対策を実施していくことが必要と考えます。さきに挙げました沖縄県では、二〇一四年に本島北部九市町村とJA、猟友会、沖縄県で広域協議会を設け、カラスの一斉捕獲や追い払い活動を連携して行うことで効果的な捕獲や被害軽減を実現しています。  そこで二点目に、行動域の広い鳥類による被害対策について、沖縄本島北部のカラスの対策のように、本県でも圏域ごとに市町村や猟友会と連携して一斉に捕獲を行うなど、県が主導して総合的な鳥類対策が行われることが必要と思われます。知事の考えをお聞かせください。  次に、学校教育現場における性の多様性への配慮について、とりわけ、ジェンダーレス制服、学校指定水着について、知事及び教育長にお伺いいたします。県立学校における制服などの指定については、教育委員会が主体性を発揮しなければ難しいと思います。二〇二〇年度より福岡市内、北九州市内の公立中学校も、選べる制服が採用されています。学生服で有名なメーカーであるトンボは、ジェンダーレス制服をホームページで掲載し、選択の自由をアピールすべきであるとしています。また、水泳用品のメーカーであるフットマークは、学校現場でも広がるジェンダーレスの動きに対応して、男女兼用で、肌の露出の少ない長袖の上着とハーフパンツのセパレート型水着を開発し、話題となりました。LGBT等児童生徒の生きづらさをなくすために制服や学校指定水着に対して、配慮が必要と考えます。  そこで一点目に、制服を指定している県立学校及び私立学校における制服、水着の指定の現状とそれぞれの選択制導入の学校数について、お示しください。  そこで二点目に、制服及び水着の選択制について、私立学校を所管する知事の認識と、県立学校の設置者である県教育委員会の今後の方針について、教育長はどのようなお考えか、お聞かせください。  次に、教員の定数未配置、いわゆる定数欠問題と教員採用の在り方についてお聞きします。本件について、我が会派は、度々教育長に対し、定数欠の早期解消をただすとともに、教員採用について抜本的な見直しを提言してきました。具体的には、二〇二一年度までに小中学校の正規教員率を九三・二%に増加させるとともに、新規採用年齢の上限の撤廃、常勤講師の給与改善などを提言し、いずれも現在取組が進められています。しかしながら、定数欠の問題は毎年のように発生しております。また、文部科学省が初めて行った教師不足の実態調査によると、二〇二一年五月一日時点において教師不足が発生した学校は小学校で六十一校、中学校で四十一校に上り、また不足教員数でも、福岡県は小学校で六十九名、中学校で五十九名に上り、不足率も全国平均を大きく上回るという極めて厳しい状況となっております。そもそも教員定数は、その学校において必要な教員数を示したものであり、その人数が足りないことに対して十分な対策を講じないことは、児童生徒の教育を大きく阻害することにつながりますから、決して看過できない問題です。  そこで一点目に、今年度、県内の小中学校及び県立学校において、五月一日時点の定数欠講師の未配置が生じた学校の割合及びその人数はどのようになっているのか、近年の傾向も含め、お答えください。  また、体育教員の方が臨時免許状を発行され理科を教える、また本来担任を持たない主幹教諭の方が担任を行うなどで、定数欠が解消されたとしている現状もあるやに聞いております。県内において、このような事例はどれほどあるのかも併せてお答えください。  二点目に、採用計画に関してです。採用予定数の推移を見ると、小学校では二〇一六年の三百九十名から六百六十名へ、中学校でも同じく二百十名から二百九十名へ大幅に増員していますが、今年度の正規教員率は小学校九二・六%で目標に比べ〇・六%低く、中学校は八八・五%と目標に比べ四・七%低いなど、目標に達しておらず、定数欠も解消しておりません。この正規教員率については、昨年六月定例会の我が会派の代表質問において、教育長は正規教員率が計画どおりに進んでいないことを述べた後、より精度の高い推計に基づき、新規採用を行ってまいると述べておられます。  そこで教育長に質問です。県教育委員会の採用計画に落ち度はなかったのか、推計方法を明らかにした上で、認識をお尋ねいたします。  この項の最後に、教員採用の在り方についてお尋ねします。本県は、教員人事権を持つ北九州市、福岡市と二つの政令市を有し、教員採用において不利な状況となっております。今こそ、採用の在り方について抜本的な見直しが急務でございます。教員採用に関する新たな取組について、教育長の決意も併せてお答えください。  また学校現場では、ICT教育や小学校の専科制度の導入に伴い、より専門性のある多様な教育人材が求められます。教育現場における多様な人材の活用を図るため、経験豊かな社会人を教員として積極的に採用するなど、抜本的に採用の仕組みを変えることが必要だと思いますが、教育長の認識をお聞きいたします。  最後に、私の地元課題として、久留米市内の浸水対策と河川管理についてお聞きします。久留米市は、今や、大雨による浸水被害の多発地域として認識されつつあります。昨年の浸水被害以降は大雨特別警報等の発令はなかったものの、今年八月二十四日の深夜から翌朝まで降り続いた大雨では、巨瀬川で氾濫危険水位を超える事態となり、久留米市の皆さんは不安な夜を過ごしました。現在、筑後川流域の浸水対策については、国、県、市による緊急対策事業が進められており、県や久留米市の広報などで適宜お知らせがあっていますが、やはり、雨が降ると多くの皆さんから、筑後川のしゅんせつを中心に、緊急対策事業の進捗状況や、その効果について問合せがあっておるところでございます。久留米市の皆さんは、五年連続で被害に遭っておられるわけですから、浸水対策の行方に対して大きな関心を寄せられるのも当然のことだと思います。  そこで一点目に、久留米市内の河川に係る浸水対策の取組は、国、県、市とも計画どおり進んでいるのか、進捗状況をお示しください。  二点目に、先ほど述べたように、不安を抱える地域の皆さんの声に応えるためにも、事業について、これまで以上にきめ細やかな情報提供や広報を行うとともに、県がその中心的な役割を担うべきだと思いますがいかがでしょうか。お答えください。  次に、筑後川流域における、本県の河川管理の在り方についてお聞きします。県は、筑後川を管理する国に対し、毎年、しゅんせつ事業の推進について要望しているところです。川幅を広げるなど河川そのものを大きくすることは極めて長い年月がかかる一方、堆積した土砂を撤去するしゅんせつや将来計画に基づき川底などを掘削する河道掘削によって流下能力を向上させることは、浸水対策に関して即効性のあるものとして、非常に重要な工事だとされています。しかし、県が行うしゅんせつや河道掘削を含む河川の維持管理予算は、県単独公共予算に含まれ、これは財政改革プランの下、毎年二%程度の削減が行われています。国には河川のしゅんせつの推進を要望する一方で、その支川である県管理河川のしゅんせつ等の予算を削減する県の姿勢は、矛盾していると考えます。  そこで三点目に、国への要望と連動した対応を行うためにも、県単独の河川の維持管理予算を重点配分等により確保するべきであると考えますが、知事の認識をお答えください。  四点目に、本年二月定例会においても、県単独公共予算の一律削減の問題点を知事にただしたところですが、平成二十九年度以降の当初予算における河川の維持管理予算はどのように推移してきたのかお示しください。  特に水害対策として重要な河川のしゅんせつ等をしっかりと行うことは非常に重要であると考えますが、久留米市内の県管理河川ではどの程度しゅんせつ等を実施してきたのかお示しいただきながら、県として、近年甚大な被害が続いている筑後川水系の県管理河川の予算の確保に、今後、どのように取り組んでいかれるおつもりなのか知事のお考えをお答えください。 16 ◯副議長(井上 博隆君) 服部知事。 17 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。  まず、北部九州自動車産業アジア先進拠点推進構想の総括と新構想についてお尋ねがございました。この構想では、生産台数百八十万台、地元調達率七〇%、開発機能の集積などを目標に掲げまして取り組んでまいりました。この結果、県内には六百七社の自動車関連企業が集積し、構想策定時は六〇%でございました地元調達率は七〇%を超えました。また、トヨタ自動車九州のテクニカルセンターやダイハツの九州開発センターなど開発機能も集積をいたしまして、北部九州は百五十四万台の生産能力を持つ開発、設計から生産まで一貫して担うアジアにおける一大生産拠点へと成長をいたしました。一方で、議員からも御指摘がございましたように、近年、自動車産業は脱炭素化に向けた電動化などへの対応や自動運転といったCASEと呼ばれる技術革新など、百年に一度と言われる大変革期を迎えております。このような大きな変化に対し、いち早く対応しなければなりません。このため、地元カーメーカーや有識者など産学官から成る検討委員会を設置し、新たな構想の検討を行ったところでございます。これを踏まえまして、一年前倒しで今年五月に、従来の生産台数拡大から、脱炭素化やCASEに重点を置く北部九州自動車産業グリーン先進拠点推進構想を策定したところでございます。今後は、この新たな構想の下で、地元サプライヤーの電動化分野への業態転換の促進、自動運転といった次世代技術への参入支援、生産工場のカーボンニュートラル化の促進、これらを支えるデジタル分野等での人材育成などに取り組みまして、北部九州自動車産業のグリーン先進拠点化を目指してまいります。  脱炭素化に取り組む中小企業の支援についてでございます。県では、脱炭素化を促進いたしますため、中小企業を対象とし、環境経営について先進企業の事例紹介を行います経営者向けの講座や、空調、照明などの機器の運用改善手法に関します技術者向けの講座、国の補助金活用に向けた工場、運輸、ビルなど業種別の補助金講座などの各種講座や相談会を開催をいたしております。また、事業場など、いわゆる現場に専門家を派遣いたしまして助言や提案を行います省エネ診断の実施や制度融資による再エネ、省エネ設備の導入等への融資を行っているところでございます。さらに今年度からは、県が実施いたします省エネ診断を受診いたしました中小企業が省エネ効果が期待できる空調、給湯設備などの更新やLED照明の導入などを行う際に、その経費の一部を補助することといたしておりまして、今年七月から申請受付を開始いたしております。こういった取組によりまして、中小企業の脱炭素化に向けた取組を推進してまいります。  自動車産業の変化に伴う中小企業への支援についてでございます。自動車メーカー各社は、EVやPHVなどの電動車の市場投入を相次いで進めております。EVの場合、エンジンやトランスミッション、クラッチなどの部品が不要となりますため、これらを生産する中小企業に影響が及ぶ可能性がございます。一方で、バッテリー、モーター、インバーターなどの部品の需要は拡大すると見込まれますことから、こういった部品に参入する中小企業を増やしていく必要があるところでございます。このため県では、EVの構造や部品などの最新情報を提供いたします自動車電動化部品研究会やEVの分解部品を使った技術講習などを行います自動車電動化技術道場を開催いたしております。さらに今年七月には、地元企業の電動化部品への参入を支援いたします自動車関連企業電動化参入支援センターを県中小企業振興センタービル内に開設をいたしまして、電動化に関する相談や課題解決のための専門家派遣、さらには工業技術センターと連携した製品開発支援などに取り組んでいるところでございます。今後は、こうした電動化分野に加えまして、燃料電池や水素ステーションの部品など水素関連産業への参入を促進してまいります。併せて、今後成長が見込まれます風力発電産業への参入についても支援をしてまいる考えでございます。  水素ステーションの整備促進についてお尋ねがございました。水素ステーションの整備を促進するためには、初期投資や運営費などステーションの経営を考えますと、水素需要を拡大させることが必要でございます。このため、FCVと比較いたしますと十数倍の水素利用量が見込まれますFCトラックの普及がその切り札として期待をされます。このため、今議会において、県内物流事業者のFCトラック導入を支援する予算をお願いいたしますとともに、業界全体の導入意欲を喚起いたしますため、県トラック協会と連携して運行データ等の情報を広く発信いたしますほか、試乗会を県内各地で行うことといたしております。今後、こうした取組を拡大することにより、広く県内全域の物流事業者への導入を促進し、本県がFCトラックの先進拠点となることを目指してまいります。また、小規模な水素需要に対応できます整備費が従来の半額程度に抑えられる小型水素ステーションが開発され、注目を集めております。県では、水素需要の拡大と併せまして、地域のニーズに応じ、こうした小型ステーションも活用することによりまして、これまでステーションがない地域に対しても整備を促進してまいります。  次に、有害鳥類対策の充実についてお尋ねがございました。県では、国の交付金を活用しまして、市町村や狩猟者などで構成いたします協議会に対し、侵入防止対策として防鳥ネットや爆音機の整備に対する支援、捕獲対策として捕獲した羽数に応じた捕獲補助金の交付を行っております。この結果、鳥類による農林水産物の被害額は、ピークでございました平成二十二年度の七億三千万円から、昨年度は二億七千万円まで減少しておりますが、近年は横ばいで推移している状況でございます。こうした中、国の捕獲補助金では割に合わないといった捕獲従事者の声や国からの予算配分が少ないといった市町村の声がございますことから、県では国に対して、捕獲補助金の単価の増額と十分な財源の確保について要望しております。また、市町村に対しましては、鳥類についても市町村が国の捕獲補助金に上乗せして助成した場合は特別交付税が措置されることを市町村に周知をいたしまして、この制度の活用を働きかけておるところでございます。加えて今年度からは、従来のイノシシ、鹿に加え、カラスの被害対策についても研修会を開催し、専用の捕獲わなや防鳥ネットの張り方などにつきまして指導を行いました。県といたしましては、市町村に有害鳥類対策の重要性や手法を周知いたしますとともに、鳥類に関する研修会の開催回数を増やすなど取組を強化し、有害鳥類対策の充実を図ってまいります。  鳥類は行動範囲が広いということで、行動域の広い鳥類の被害対策についてお尋ねがございました。この行動範囲の広い鳥類による被害を減らしますためには、広域的な捕獲対策が有効でございます。このため、県内の六農林事務所ごとに市町村や狩猟者などで構成いたします広域協議会を設置し、市町村をまたいだ捕獲計画を策定した上で、一斉捕獲を実施いたしております。また、この際に狩猟者が使用した弾代や車の燃料代などに対し助成を行っております。捕獲数を増やしていくためには、全県下での狩猟者の育成も必要でございます。このため県では、狩猟免許の取得者を対象に、わなの設置や猟銃の取扱いに関する研修会を開催してまいりました。これに加えまして本年度からは、新たに狩猟現場においてベテランの狩猟者がマンツーマンで指導を行う取組を開始いたしました。県といたしましては、こうした広域的な鳥類の捕獲対策を主体的に実施し捕獲数を増やすなど、農林水産物被害の軽減に努めてまいります。  次に、私立学校における制服及び水着の指定の現状についてでございます。制服を指定している私立学校におきまして選択制を導入している学校は、小学校八校のうち一校が導入済みで、三校が導入予定、中学校二十六校のうち九校が導入済みで、五校が導入予定、高等学校六十校のうち三十七校が導入済みで、十校が導入予定となっております。また、水着を指定している小学校は九校、中学校は二十五校あり、選択制を導入済みまたは導入予定の学校はございません。高等学校は四十五校が指定しており、このうち一校が選択制を導入済みで、導入予定の学校はございません。  私立学校における制服及び水着の選択制に対する認識についてでございます。県では、性的少数者の児童生徒へのきめ細かな対応の実施に関する国の通知を受けまして、各私立学校に対し、この周知を図ってまいったところでございます。制服や水着について児童生徒の選択の幅が広がり、自分らしく安心して学校生活を送ることができることは大切なことであると考えております。県といたしましては、公立、私立を問わず県内の学校における選択制の取組状況につきまして、私立学校に対し、この情報提供を行ってまいります。  久留米市内の浸水対策の進捗状況についてでございます。久留米市内では浸水被害が甚大でございましたことから、国や市と共に設置いたしました浸水対策検討会におきまして総合内水対策計画を策定し、浸水対策に取り組んでおります。この計画に基づきまして、県ではこれまでに、金丸川、池町川及び下弓削川の堤防かさ上げを完了させております。現在、池町川では、地下調節池の工事に着手いたしますとともに、地下放水路の工事を本議会において契約議案として提出させていただいております。また、山ノ井川では堤防かさ上げと橋梁架け替えを、大刀洗川では護岸の整備を、陣屋川では橋梁架け替えを進めております。国におきましては、筑後川本川のしゅんせつ工事につきまして、合川地区ほか二地区で完了させまして、大杜地区ほか三地区で予定をいたしておりまして、築堤工事につきましては、北野地区ほか二地区で進めておるところでございます。また、下弓削川におきましては、枝光排水機場の増強を終え、今年の出水期から運用を開始しております。金丸川においては、古賀坂排水機場の増強を進めているところでございます。久留米市におかれましては、大学のグラウンドを活用した雨水の貯留施設や市管理河川の堤防かさ上げ、雨水幹線などの整備を進めておられます。今後も国や市と連携し、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の予算などを活用し、引き続き計画的に浸水対策を進めてまいります。  地域住民の皆様へのきめ細やかな情報提供や広報についてでございます。県では、国や久留米市と共に、実施箇所や事業の内容、効果について地元説明会やホームページでの情報発信、報道機関への情報提供などを行っておるところでございます。特に、浸水被害の続いている地域では、住民の皆様から災害への不安の声があり、事業への関心も高いことから、より丁寧に情報を提供するため、今年度から、新たにチラシの各戸配布などを行っております。今後も、地域の皆様の声を聞きながら、必要に応じて情報提供の方法を見直し、よりきめ細かな対応に努めてまいります。県管理河川の流域で実施いたします浸水対策につきましては、引き続き国や市と緊密に連携を図りながら、県が中心となって、より丁寧に情報提供を行ってまいります。  最後に、筑後川水系の県管理河川の予算の確保についてお尋ねがございました。河川の維持管理に係る県単独の当初予算は、平成二十九年度は四十三億八千万円余、令和四年度は三十九億八千万円余となっておりまして、平均いたしますと一年当たり二%程度の減少で推移いたしております。しかしながら、しゅんせつ等の実施に当たりましては、県単独の予算に加え、財源面で有利な補助、交付金事業を最大限活用し、必要な事業規模を確保いたしております。こうした予算を活用し、近年被害が頻発しております久留米市内におきましては、令和元年度から昨年度までに、陣屋川、広川、巨瀬川など十七河川において約十万立方メートル、一般的な二十五メートルプールでは約三百三十杯分に相当いたします規模のしゅんせつなどを実施したところでございます。引き続き、筑後川水系の浸水対策等に必要な予算の確保に努め、防災、減災、県土強靱化にしっかりと取り組んでまいります。  ──失礼いたしました。一問答弁を飛ばしておりました。県単独の河川の維持管理予算の確保についてお尋ねがございました。県管理河川の維持管理に係る当初予算は、土砂の堆積状況や地元の皆様の要望などを基にいたしまして、治水上の安全度、緊急性、さらに近年の浸水被害の状況を勘案をいたしまして、筑後川水系のしゅんせつなど、必要な箇所に重点的に配分をいたしております。さらに、大規模災害の発生時などには、土砂の堆積など被害状況に応じまして、議会の御承認をいただきながら必要な追加予算を確保してまいったところでございます。引き続き、国に対し筑後川のしゅんせつなどの要望を行いますとともに、流域全体の皆様の安全、安心を守るために必要な事業が実施できますよう、予算の確保に努めてまいります。
    18 ◯副議長(井上 博隆君) 吉田教育長。 19 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 県立学校における制服及び水着の指定の現状についてでございます。本年度、制服を指定している県立学校百十校のうち、スカートかスラックスかを選択できる学校は九十七校であり、来年度以降に導入予定の十校を含めますと、全体の九七%が制服の選択制を実施することとなっております。また、水着につきましては、水泳の授業を実施している県立学校四十七校のうち、セパレート型や長袖の水着などを自由に選択できる学校は三十九校でございます。残りの八校においては、男女別に水着の形を指定しておりますが、個別に申出があった場合には、その他の水着の着用を認めております。  制服等の選択制に関する今後の方針についてでございます。制服の在り方については、県教育委員会として、これまで児童生徒が安全、安心な学校生活を送れるよう、温度調節や動きやすさなどの機能性、肌の露出を減らす防犯対策など幅広い観点からその見直しを図るよう学校に促してきたところであり、現在、ほとんどの学校で選択制が実施されております。御指摘の水着に関しましても、同様の観点からその弾力化を進めてまいります。今後とも、各学校において望ましい制服等の在り方が検討され、不断の見直しがなされるよう指導してまいりたいと考えております。  次に、学校における定数欠講師の未配置の状況についてでございます。今年度、必要な定数欠講師が確保できず未配置となっておりますのは、小学校の一四・四%に当たる六十三校で六十六人、中学校の一八・五%に当たる三十七校で五十六人、県立学校では、高校に未配置はなく、特別支援学校の二〇・〇%に当たる四校で五人となっており、これはこれまで減少傾向にありましたが、昨年度から増加し、厳しい状況にあると考えております。  また、定数欠講師のうち臨時免許状により対応している人数は、小学校三百六人、中学校六十六人、高校十六人、特別支援学校三十七人となっており、小学校で担任業務をしている主幹教諭等は三十一人となっております。  採用計画における定数の推計についてでございます。小中学校における正規教員率につきましては、昨年度まで上昇してきておりますが、目標には至らなかったため、定数の推計をやり直し、過去三年間の特別支援学級の伸び率や中途退職者の人数を反映させるなど、より精度の高い推計に基づき今年度の新規採用を行ったところでございます。しかしながら、採用試験の志願者の減少や合格発表後の辞退が見込みを上回り、採用予定数より百十人少ない八百四十人しか採用できなかったために、目標を達成できなかったと考えております。  今後の教員採用の在り方についてでございます。多様な専門性を持つ社会人を教員として採用することは、学校教育における新たな課題への対応のために効果的な方策であると考えております。このため、採用試験の年齢制限を段階的に引き上げますとともに、中学校及び高校の理科、英語、情報等の教科について、専門職経験者の特別選考を実施し、一次試験を免除することで社会人が受験しやすくしております。また、教員を志望する者を増やすために、大学や企業と連携を深め、特別免許状の活用により社会人の受験を促す取組や県内外の学生への情報発信を強化するとともに、大学の推薦による特別選考の実施を検討するなど、質の高い教員の確保に向けた取組を推進をいたしてまいります。 20 ◯副議長(井上 博隆君) 新井富美子君。 21 ◯十番(新井 富美子君)登壇 御答弁いただきました。二項目につき要望いたします。  まず、今後の水素戦略について、要望いたします。そもそも、本県商工部自動車・水素産業振興課という水素の名前が入った課は、四十七都道府県で本県が唯一であるとのことです。そして、この課をつくられたのは、服部知事であります。このことだけを見ても、本県は水素戦略に並々ならぬ思いで臨んでいることが分かります。FCトラックの普及については、今後取組を拡大することが言及されました。FCトラックはもとより、他の四十六都道府県を凌駕するような取組によって、本県を全国有数の水素先進県へ牽引していただきますよう要望をいたします。  次に、定数欠問題について教育長に要望いたします。本県の定数欠講師が残念ながら大幅に増加していることが明らかとなりました。併せて明らかとなった定数欠講師に対する臨時免許状等の対応の人数を入れると、総数は五百八十三名に上ることが分かりました。今後の対策として、特別免許状の活用や新たな選考についても言及されましたが、根本的には、教職員の長時間労働是正や、給特法の改正を行うことで、教育現場の労働問題を解決することに尽きると思います。この点は度々教育長をただしてきたところですが、引き続き取組を強化していただきますよう、要望をいたします。  以上で代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 22 ◯副議長(井上 博隆君) 本日の代表質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 三 時  零 分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...